二人の進捗状況
「なあなまえ!お前と大地さんってどこまでいってんだ?!」 「ちゅうまでか?!それとも〇×△…!!」 「ぎゃああああ!なんのセクハラだお前ら!!」
とある土曜日の朝の部活が始まる前、やかましい龍とノヤさんがいきなりセクハラをかましてきた。そんなこと答えられるか!だって…私だって悩んでるのに!
「大地さんに聞いたらいいじゃないの!」 「聞けるかバカ!3年生が来るまでに答えろ!」 「うっ…」
ちくしょう、日向と影山はさっさと練習してるし!月島はシカト決め込んでるし!山口は月島にしか興味ないし! 大地さん助けて、なんて心の中で思っても通じるわけもなく。
「ほらほら、吐いちまったら楽になるぞー?」 「大地さん手早そうだもんな」 「しかも体力あるし!」 「…知らないもん」 「え!まさかまだしてねえの?!」 「……」 「じゃあキスまでか〜」 「……」 「まさか…キスもまだか?!」
私だって悩んでるっての!と心で毒づく。
女としての魅力ないのかなとか、私にそんなに興味ないのかなとか、他にそういう相手が居たらどうしようとか。
「そうかー、なまえ色気ないもんなあ」 「近くに潔子さんいたらなあ…」 「大地さんモテるしな」 「……」
それ以上言うなバカ、と悪態をつくことでなんとか滲む涙を飲み込もうとしていると、
「はいそこまで。あんまりなまえを虐めないでくれるか」 「「大地さん!」」
いつの間に入ってきたのか、近づきながら二人を止めてくれる。 助けてくれたのは嬉しい。嬉しいけど、今彼の顔を見たら泣いてしまいそうで。
「なまえ、こっちおいで」 「……」
顔をあげられないまま、おずおずと彼に近づく。
「顔あげなさい」 「…いや、です」 「……」
一瞬の間があくと、両頬に彼の大きな手が伸びてきて顔をぐいっとあげられ、ちゅ、と、大地さんの暖かくて柔らかい唇が私のそれを掠めた。
「大事にしたいんだって、わからないのか」
一瞬頭は真っ白になったけど、大地さんの言ってくれた意味はすぐに理解できた。
「……ごめんなさい大地さん」 「…ま、もしわかんないってなら俺はいつでもいいんだけどな」 「…じゃあ、わかんないです!」
すると大地さんは笑って、
「今日、うちに来るか?」
と言って、もう一度キスしてくれた。
さっきまでむかついてたけど、龍とノヤさんにも感謝してやろう。とりあえず部活終わるのが楽しみだ。
一歩、前進
(日向と影山、顔真っ赤だぞ) (実は聞いてたのね)
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