HAPPY BIRTHDAY




大晦日、夜。


「なまえ、ごめん!待った?」
「大丈夫だよ、今来たとこ」
「よかったぁ〜…」

膝に手をついて息をきらせながら言う旭。春高が迫っているとはいえ元旦だけは部活も休みで、一緒に年を越そうと初詣に行く約束をしていた。


「じゃ、行こっか」
「うん」


そう言って差し出してくれる、私の大好きな大きい手。握り返して思わずにやけた。寒いけど手袋してこなくてよかった、なんて。

そしてあと少しで、年があける。周りでカウントダウンが始まって、なんとなく緊張して無言になる。


(3、2、1、…)





どこからか花火の音が聞こえてきて、周りの人も口々に新年の挨拶を交わしていて。


「なまえ、」
「ちょっと待って」
「え?」

「…誕生日おめでとう、旭」

一瞬止まったあと、あの優しい笑顔で「ありがとう」と返してくれた。

一番に言いたかったから、 本当によかった。二人微笑みあって、今度は同時に「あけましておめでとう」と言いあった。


参拝の長い行列に並びながらプレゼントも渡して、おみくじも引いて。今までで一番幸せな年越しだなぁなんて思いながら。









「なまえはなにお願いしたの?」
「言ったら叶わない気がするから秘密!旭は?」
「じゃあ俺も秘密かな!」
「え〜」

定番の会話をしながら神社を出る。このまま帰るの寂しいななんて思ってると、手を握られる力が強まった。

「あのさ…なまえにも一つお願いしていい?」
「うん、なに?」
「帰らせたくない、なんて思ってるんだけど…ダメ、かな?」


ああ、同じこと思ってくれてたなんて。さっきの神様へのお願いを、早速叶えてくれてるのかも。

返事なんて、もう決まってる。





今日はずっと一緒にいよう

(誕生日プレゼント、もう一ついらない?)
(え?何なに?)
(姫初め、とか)
(…いただきます。)



旭さんHAPPY BIRTHDAY!!


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