HAPPY BIRTHDAY




「なあ、なまえ」
「なあに、大地」


今年最後の部活も終わり、いつも通り大地と一緒に帰ってきて今は私の部屋。今日は大地の誕生日で明日は東峰の誕生日ということで、部活後に皆で坂ノ下商店でちょっとしたパーティをしてきた。

人望のある三年生だけあって和気あいあいと進んだパーティだったけど、やっぱり主役の側には常に人がいて、あまり一緒にはいられなかった。プレゼント渡したのもごった混ぜだったし。

でも大地はそんなこと気にしてなさそうだなと思いながら、彼の呼びかけに応える。



「俺のこと好き?」
「…なにを今更。」


急な質問に驚きつつ、私の小さな嫉妬を見透かされたようで恥ずかしくなり、可愛くない答え方をしてしまった。


「な、ちゃんと言って?」
「…恥ずかしいから、無理」

「俺は素直な子が好きだぞ」
「真面目な話?からかってるの?」

「あ、怒っちゃった?」



怒るわけなんてないけど、背中を向けた私を後ろからつんつんしてくる大地。付き合いも長いから、私の扱いにもお手の物。

私が大地のこと大好きなことなんて分かり切ってるくせに。恥ずかしすぎてそんなこと滅多に言えないのもわかってるくせに。



…けど、滅多に言わない彼の我儘。


「ベッドの上では言ってくれるのになあ」
「それは…言わなきゃやめるとか、意地悪なこと言うから…」

「だってめっちゃかわいいんだもん。」
「とにかく、はずかしいから無理!」

「よし、ちょっと言いやすくしてみよう。なまえここおいで。」


そう言って大地は自分の膝を指したから、無言で胡座をかいた大地の上に跨がる。

「ぎゅーってしてみ」
「ん。」

「このまま、好きって言ってみ?」


顔は見えないけど、大地のぬくもりが伝わってくる。やっぱりここが一番落ちつく。

もう、仕方ないな。



「…き」
「ん?もういっかい」
「…す、き…」


大地の首もとに顔をうずめたまま言った。恥ずかしすぎて死にそうだ。


「ん、よくできました。」


そう言って頬に手を染められ、無理やり顔を覗き込まれる。きっと真っ赤なんだろうな、あたしの顔。


「なまえ、かわいい。頑張ってくれてありがとな。俺も大好き。」


とびきりの笑顔で、とびきりの甘い声で言ってくれた。こんな顔が見れるなら、多少の恥ずかしさなんて捨ててみようかな。


それと、もう一回。






誕生日おめでとう。大好き。

(…とびきりのプレゼントありがとう)
(…たまには、ね)
(もうひとつ、くれるよな?)
(え、きゃあっ)


大地さんHAPPY BIRTHDAY!

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