黒尾さん 2
「ねぇ鉄朗…この部屋寒くない?」
二人乗るベッドの上で鉄朗に尋ねる
「そうか?まだ暑ィよ」
私が起き上がって手にしたエアコンのリモコンを奪い、笑う彼。
「絶対寒い!暖房いれようよ」 「服着てねぇからな。そんなに寒いんならもっとこっち来いよ」
何かをたくらむように笑いながらベッドの上で手招きをする。
「でも…」 「グダグタ言うんじゃありません」
ぐいっと腕ごと引っ張られ、鉄朗の両腕の中にすっぽり納まる。
「ん、暖かい」 「だろ。あったまるまでこうしててやるよ」 「…うん」
妖しい笑いから、いつの間にか飛び切り優しい微笑みに変わっていた。
そんな彼にまた愛おしさを覚え、もう少し自分から擦り寄ってみる、
…たまには騙されてみるのも悪くないかな。
この話にコメントする
|