真夜中の秘密事
黒尾先輩の彼女になって二年。先輩とバレー部の人たちに勧誘され、マネージャーになって一年。今年も合宿の季節がやってきた。何回目かの合宿だけれど、練習を除いて楽しみなことと大変なことが一つずつ。
楽しみなのはマネージャー同士の女子会。お風呂の後から就寝時間まで、皆でお菓子を持ち寄ってガールズトークを繰り広げるのがとっても楽しい。
そして大変なことは、その更に後の時間、暗くなった館内で行われる秘密の情事。合宿の間はほぼ毎夜、皆が寝静まったあとにメールで呼び出され、誰もいない場所で行為に至る。
「ふっ、ぅ…クロせんぱ、あっ」 「しー、声出すな」
声出すな、なんて。そんなこと言うなら、今私のナカで動かし続けてるその長い指をとめてほしい。
「う、ん…っ」
唇を噛み締めて与えられる快感に耐えるけど、先輩はそれを見越して、私が我慢できるぎりぎりのあたりを狙ってくる。
万が一のために服はほとんど脱がないまでも、先輩の左手は私の胸元をまさぐり続けて、時々わざとか偶然か、胸の突起を掠めて。上も下も快感を断続的に与えられ、頭がぼーっとなってきた。
「お、いい感じでエロい顔になってきたななまえ」
暗闇の中でも先輩がニヤリ、と笑うのが見える。そんな顔をみて、また背筋がぞくりと震え、ついお腹に力がはいってしまう。
「おい、そんな締めつけんのは本番中にしろ」
なんて、また意地悪な言葉を放つから。もう歯止めがきかない、恥ずかしいのに、腰がふるふると揺れてしまう。
「悪ィな、もっとイかせてやりてぇけど、俺もそろそろ限界。後ろ向いてな」 「ふっ、あぁ、うっ」
また意地悪なのか本心なのかそう呟くと、後ろを向いた次の瞬間にぬるり、と熱い塊が浸入ってくる。 ぎちぎちと密着しながら再奥まで進むソレに意識が集中していく
「んっ、やあ、深、ぃぃ…っ」 「っは…」
何かを逃すように先輩が息を吐くと、そこから始まる律動
「クロせんぱ、いっ、そんな、激しいの…っゃあ」 「だから、声でけぇって」
低く掠れた声が耳元で響く。なんでこんな時にそんな色気のある声を、
「んぅ、ん、ん、っ」 「よし、いい子だ」
どんどんあがる体温と裏腹に、低くなる先輩の声に身震いする。こんなにきもちいいのに声を出せなくて、胸がきゅうっと締め付けられる。
それでも先輩の腰は私を突き続ける。後ろから、最奥を。ギリギリまで引き抜いて、また一気に打ち付ける
「やっ、あ、ぅ…っ…!せんぱ、い、きもち、ぃっ」
もう恥ずかしさなどどこかに消えてしまって、精一杯の小さな声で伝えると、私のナカでまた先輩が大きくなった気がした。
「はっ、いーじゃんなまえ」
激しくなる腰の動きに、打ちつける音と水音が響く。
「せんぱい、っ、音、聞こえちゃう…っ」 「こんな溢れさせてんの誰だよ」
ああいま絶対意地悪な顔してる、なんて考えると、後ろから先輩に顔を向かせられる。予想通りの上がった口角に、しっとり汗ばんだ顔。
(先輩も、えっちな顔、してる)
そのまま降りてくる唇に必死に自分のそれをあわせると、お互いの唇の隙間から、二人分の吐息とくぐもった私の嬌声が漏れていく。
こんな時に、こんな時だからこそ、クロ先輩が大好きだという気持ちが湧き上がってきて、きゅうっと切なくなった。は、と息を吐いて唇が離れると、
「やべーな締めつけ。そろそろイきそうか?」 「ん、あ、っはい、イっちゃ、うっ」
もう心も体もなにかが溢れそうで。 なんとか先輩も一緒にイこ、とだけ伝えると、先輩は一瞬眉根を寄せて、更に強く、速く動き始めた。
「あ、ぅ…っや、ん、あぁっ、!」 「、んっ…」
ゴム越しに先輩の熱い体液が飛び出ているのがわかる。その感覚まで感じたくて、今度は意図的にきゅっと締めつけた。
「はっ、やらしいことしやがって」
と言いながらずるりと引き抜かれるソレ。幾許かの喪失感を感じつつ、体が熱から覚めるのを待った。ああ、明日の練習大丈夫かな、なんて考えながら。
そうしてそっと部屋に戻っていく。合宿中の大変なことの一つだけれど、誘われたら断る勇気は、ない。
きっと明日の夜も、
(でもクロ先輩、毎晩はきついです…) (はぁ?お前と一つ屋根の下で我慢なんかできるかよ)
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