噂のカワイイ系男子




うちのクラスにいる彼は、本当にかわいくて仕方がないと思う。

教室ではいつもニコニコしてるし、口調とかもかわいいし、最近は前よりごはんをよく食べるようになって口いっぱい頬張ってるとことか、小動物みたいでかわいい。



「なまえ、おはよー!」
「おはよ!」
「今日お弁当?」
「んーん、購買か学食!」
「じゃあ一緒食い行くべ?」


いつものように笑ってくれる菅原くん。私もつられて笑って、もちろん!と返事をした。

こうしてたまに昼食を一緒に食べたり、菅原くんが部活ない日は一緒に帰ったり。一番仲のいい女友達として認識してくれているのだろうか、そうだとしたら嬉しいな。


今日は二人で学食に行ったあと、誰もいない屋上で休憩中。こんな日はいつも他愛ない会話をしながら、始業まで二人で寝っ転がっている。



「あ、荒れてる…」
「ん?どうしたの?」
「ちょっと唇乾燥しちゃって…リップクリーム付けてないから」
「え、なまえつけてないん?」
「ずっとつけてないよー何で?」
「だって、唇ピンク色でかわいいからさー」


くるっと首だけこっちを向いて、菅原くんが微笑む。その笑顔でそのセリフは反則だ。かわいいのは菅原くんの方だよ、と言いかけてやめた。


「あ、俺持ってるけど」

そう言って起き上がり、ポケットを探る菅原くん。え、女子力ありすぎじゃないですか?ていうか貸してくれるの?まさかの間接キス展開?なんて、一瞬で色々な思考が頭を巡る。

と、彼は自分の口にそれをすーっと付けた。あ、期待した自分が恥ずかしい、と思っていると


「なまえ、そのまま上向いてて?」


私が寝転がったままいると菅原くんがそう言って、私の顔の両側に手をついた。吃驚して固まる私に、唇を掠めとる彼。ちゅっと軽い音がして、すぐに離れた。


「ー…っ」

私がただただ驚いて呆然としていると、


「ちゃんとついたべ?」


なんて言いながら、悪戯っぽく笑った。その瞬間の菅原くんはかわいいと言うよりかっこよくて、私は顔が赤くなるのを止められなかった。






これが噂のギャップ萌えか

(唇、乾燥したらいつでも言って)
(…もう乾燥しちゃった、かも)
(ん、了解。)


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