お届けものです!!



「やぁ!アッカーマン!今日はいい天気だね。」

「何をしに来た?大事な事だから言っておくが、私はアッカーマンではない。オロ」

「あっれぇ?今日はアッカーマンしかいないのかい?」

「聞け!!!」

その日平釜平原にある元祖軍屋敷にやかましい客が来た。



それは、つい最近の出来事だ。

再び現れた怪魔によって別世界に飛ばされた妖怪ウォッチ。
そして、その別世界に飛ばされた妖怪ウォッチを手にした
とある兵団に所属する兵士・・・
名前。そしてその兵団の兵士長であるというリヴァイ。
その二人を本家の大将である大ガマがうんがい鏡を使い
この世界に呼び出したのだ。
この二人は今、本家預かりになっている。

その名前が、何故か元祖軍の屋敷へやってきた。

その日。元祖軍大将、土蜘蛛は不在。
大将の留守を
元祖軍のナンバー2であるオロチが守っていたところだった。

オロチは正直この得体のしれない女が苦手だ。
見たこともない
奇怪な機械を身に付け
その奇怪な機械に備え付けられた双剣で
巨人という未知の存在と闘っていたという。
オロチからしたらなんとも信じられない経歴を持つ上
彼の事を何故か
アッカーマンという名前で呼ぶ。

ついでに言うと、何度も名前を教えたが
彼女は決して名前を覚えようとはしない。

「で?何の用だ?」

「実はね大ガマが土蜘蛛にこれを渡してきてくれって。つまりお届けものを頼まれたわけさ!」

「・・・大ガマが?」

「ああ!えーと。なんだっけ?デンジャー饅頭とか言ってたっけ」

「で、でんじゃーまんじゅう?」

聞き慣れない饅頭の名前にオロチは首を傾げた。

「違う。デンジャー饅頭じゃねぇ。あのクソガキは天地饅頭と言ったんだ」

そこに現れたのはリヴァイだった。
オロチは音もなく現れたリヴァイに、小さくうわぁ。と言ってしまう。
名前の事もそうだが、このリヴァイという男の事も
オロチは正直苦手だ。
目つきが悪く、何を考えているか分からない。
ついでに、見ている限りでは暴力的。

「リヴァイ!来ていたんですね!」

そう言ってニンマリ笑った名前に、リヴァイは舌打ちをひとつ。

「とにかく早めに帰ってこい。お前のことだ。どうせ・・・頼み事にかこつけて訓練をサボれるとでも思っていたんだろうからな」

「あっはー!!リヴァイにはお見通しですね・・・あっ!いや、違います。思ってな」

そこでリヴァイの強烈な拳骨が、名前を地にひれ伏させた。
リヴァイはクソが。今日は死ぬまで走りやがれ。と残し去って行く。

オロチはその一連の流れを唖然と長め、突っ伏したまま顔を上げない名前に視線を移した。
このままほっといても良いのだが、それだと彼の良心が痛む。

「・・・だ、大丈夫か?」

「・・・」

「お、おい?」

その時だ。ガバッと顔をあげた名前に思わず悲鳴をあげてしまう。

「やぁ!アッカーマン!今日はいい天気だね。」

「・・・」

拳骨により一部の記憶が欠如したのだろうか。また同じことを繰り返す名前に
オロチは悲壮感満載な視線を送ることしか出来ない。

大ガマからの贈り物。天地饅頭をオロチに渡した名前に
彼はどうしても聞いてみたい事を聞いてみることにした。

「お前は」

「ん?どうしたんだい?」

「お前は女の癖に何故兵士などに志願した?」

その質問に名前はキョトンとして
再びへらりと笑う。

「アッカーマン。女の癖に、というのは良くない言い方だよ」

「す、すまない。だが、女というものは男が家を空けている間家庭を守るものだと」

「そうだね。一般論はそうなのかもしれない」

名前はふと、目を綻ばせ
オロチを見やる。

「アッカーマンが言うのは私達にとって理想論だ。家庭を作り、主の帰りを可愛い子供達と共に待つ。それが、アッカーマンからしたら何の変哲もない、普通の女としての姿だと思う」

「・・・」

「だけど、そうして居れる者達が・・・。私達の世界ではごくわずか。ほんのひと握りしかいないのが現状だ。壁に阻まれ、巨人に怯え、餓えに苦しみ、下級層の内では生きるために誰かを殺すのが当たり前の世界だ。まぁ、私はそんな下級層の中で育った」

名前の顔は笑ってはいるものの、その瞳はどことなく悲しげで
オロチは改めて、世界の次元が違うことを認識させられる。

「兵士になったのに理由はない。でも、一つ言えることは、巨人という脅威にさらされる今。選択肢は・・・神に祈ることでも、怯える事でもない。戦うことだと私は思っているのさ」

その言葉の中に、オロチは
彼女の覚悟を見た気がした。
それは、想像もつかないほど
残酷で、しかし確実に生を主張する覚悟だ。


「そうか・・・」

「つまらない話をしてしまってごめんよ!まぁ、そう言う事さ」

ヘラヘラと笑う名前に対し、オロチは少しだけ彼女に対しての考えが変わった気がした。

変人で
酔狂で
名前を覚えない不束者だが

既に自分の人生というものを見据えているのだと。


「とにかく土蜘蛛が戻ったらそれを渡してよ!あ、大ガマから伝言も預かっていたんだっけ・・・土蜘蛛。それ食えよ。絶対食えよ。だそうだよ」

「・・・ああ。伝えておく」

オロチはなんだかすごく嫌な予感がして、箱の中に敷き詰められた天地饅頭に視線を落とし
苦笑いをひとつ。

「それじゃあ。そろそろ帰らないと鬼のリヴァイに死ぬまで走らさせるからね」

「・・・そ、そうだな」

「また来るよ。オロチ」

名前はニンマリ笑うとそう言って・・・。
オロチは目を見開いた。
呼び止めようと口を開きかけた時には既に
彼女は颯爽と去ったあとだった。

「・・・なんだ。あの女は」

調子が狂う。

オロチはそう言って深いため息をついたのだった。



「土蜘蛛殿。大ガマが贈り物を」

「何?大ガマが?」

「はい。饅頭です」

「あやつが饅頭を贈ってくるなど・・・。まぁどうせ中身はこしあ」

「・・・?どうされたのですか?」

「オ、オ、オ、オ、オロチ!!!み、み、水!!!!水!!!」

「え!?あ、はい!!」

「大ガマめ!!!たばかったなぁあああ!!!!!」


その後。土蜘蛛が本家軍に単身乗り込んだのは言うまでもない。




あとがき。

絶対零度。のペコ様より相互記念をいただきました!!
きゃぁああ!
ペコ様のオロチ!ペコ様の夢主!そして我らが兵長ぉおお!!

もうペコ様宅の夢主ちゃんのぶっ飛び具合がツボでして(笑)
やっぱり面白くて楽しいです!!
ペコ様のサイトで一番初めに読んでファンになった小説で相互を書いていただけて…
本当に嬉しいです!(〃´ω`〃)

ペコ様本当にありがとうございました!
どうぞこれからも三色みたらしとヘタレ管理人をよろしくお願いいたします!!


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