アルバイト


その日の夜、和希はバイト先のバーに行った。いきなり辞めると言ったら驚くだろうか、いやきっと困らせるだけだろう。少し気が重かったか行かない訳にも行かない。

いつもより30分早く出勤してオーナーに今日で辞めたいと告げる。
理由を訪ねられ、トレーニングセンターで働くことを告げるとオーナーは喜んでくれた。

「お前、ヒーローTVかじりつくように見てたもんな。他に時給が良いところを見付けたとか言うならそこよりも時給を上げるとか出来んだが、ヒーローには流石の俺も勝てねえよ」

良かったな。と言って頭を撫でられる。母が死んで一人で路頭に迷っていた時に助けてくれたのがオーナーだ。働き口だけではなく住むところだって紹介してくれた親代わりと言っても過言ではない。

「たまには顔出せよ?」
「はい!手伝いに来ます!」
「ばか、客として来いよ」

二人で笑い、開店の準備をした。
その日は最後のバイトとと知った馴染みの客からお酒を飲まされたり、いつもより賑やかなバイトとなった。


バイトが終わり片付けまで手伝い和希が家に帰えりつく頃には午前1時を過ぎていた。

アルコールも手伝いベッドに突っ伏しそのまますぐ夢の中へと落ちる。





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