愛の与え方

「先輩、僕は先輩の事が好きです」

彼は泣きそうな顔でそう言った。僕はその表情を気にするよりも、その言葉に浮かれてしまい。一体、彼がどんな気持ちでその言葉を僕に告げたのかあの時は考えられなかった。

そして今も、


「あッ…!バーナビーさん…っや」

噛み千切られるのではないかという勢いで乳首を噛まれれば、必然的背中が仰け反ってしまう。生じた背中とベッドの隙間にバーナビーは腕を差し込みそのままイワンの体を抱き寄せる。

「嫌だ、なんて嘘言わないでください。気持ちいいですよね?」
「はぅ…ひ…っ!んんっ」

翡翠のような綺麗な瞳を細めて意地の悪い笑みを浮かべたバーナビーが赤く腫れて血の滲む乳首に今度はゆっくりと舌を這わす。舌の根元で乳首と乳輪の全体を舐め上げたり、舌先で勃ち上がる乳首をぐりぐりと押し潰せばバーナビーの執拗な責めに開発され切ったイワンの体はぶるりと快感に震えた。一度も触れられていない自身からはだらしなく先走りが溢れ、射精をまだかまだかと訴えるようにぴくりと反応を示す。

今すぐにでも、震える自身に触れ扱き射精したいと思うイワンだが、その両手は一纏めに縛られ、更にそれをベッドヘッドに繋がれているため身動きが取れない。

「乳首しか触ってないのに、こここんなにして。本当に先輩は淫乱ですね」

そんな淫乱な体にしたのは誰でもないバーナビーだ。引っ込み思案で女性と手を繋ぐどころか上手く会話すら出来ないイワンが、バーナビーの調教によって今ではバーナビーが触れるだけで発情し、体が反応してしまう。それが暴力だろうとなんだろうとだ。

性の知識に疎く真っ白だった少年が、今やバーナビーの下で淫らに喘いでいる。それはバーナビーの征服欲を満たし、高揚させる至高の存在だった。

「そういえば、初めてセックスした時も先輩最後は僕におねだりしてましたもんね。本当にあれがヴァージンだったんですか?スポンサーとかに股開いてたりして」
「…っそんなこと、しな…ぁんっ」

バーナビーの細い綺麗な指がイワンの双丘の奥にある窪みをなぞる。先走りで濡れたそこがバーナビーを誘うようにひくりと蠢いた。誘われるまま人差し指を入れるとイワンが小さくなく。

「ですよね。あの時確か少し出血しましたもんね。一応慣らしたのに」
「あっ…んんっ」
「あの時は指一本入れるのも苦労しました。覚えてます?あまりのショックに先輩失禁しちゃったの」

細く長い指がぐるりと快楽を待ちわびる中を確かめるように一周する。その途中前立腺を撫でられればイワンは仰け反り自身からはまた新しい先走りが溢れる。バーナビーはその様を見て微笑むともう一本指を増やしイワンの中をいたぶり始めた。

「あっ!くっ…あぁっ」
「ごめんなさい、ごめんなさいって泣きながらお漏らしする先輩凄いいやらしくて可愛かったなあ。揺する度におしっこがあちこち飛んで…僕未だにあの時の先輩オカズにオナニーするんですよ」
「あん…ぁう…あっ」
「それが今じゃこんな指2本なんて朝飯前の体になっちゃって…」
「あっああぁっ…」

人差し指と中指ですっかり腫れた前立腺を挟まれごりごりと擦られれば、イワンはもう何も考えられなかった。いや、もうベッドに押し倒された時から何も考えられないくらいの熱がイワンの体に渦巻いている。若い無垢な体にそれほどバーナビーの与えるものは効果があったのだ。

「バー、ナビーさぁん…っ」
「なんですか?先輩」
「あっ…いか、…いかせて…前も触ってぇ…」

イワンの美しい凛々しさを携えたアメジストの瞳は最早欲望に濡れ、バーナビーを煽る。羞恥心もプライドもバーナビーの調教によりすっかり崩壊していた。息を整えようとして腹筋がひきつり痙攣するとバーナビーの指をきゅっと締め付ける。それにすらイワンは甘い息を吐いた。

「あぁ…お願い…お願いバーナビーさん…もういきたいよお…っ」

イワンがバーナビーにおねだりする間バーナビーの指は動くことなくイワンの中に埋められていた。さんざん高められていたところの刺激が止み、イワンの腰が無意識に動く。

「もっと詳しく言わないと、解りません」
「あっ…なんで…」
「どうされたいんですか?言わなければもう僕はこのままにして帰りますよ」
「あっ…そ、な…んんっ」

この状態で放置されれば間違いなく狂ってしまう。イワンは唇を噛みしめ一旦深呼吸し、さんざんバーナビーに教え込まれた言葉を快感で震える声で紡ぐ。

「あっ…バーナビーさん、僕のっお…ちんちん触って…、しゃせいさせて…っ」
「射精したいんですか?」
「んっ、したいぃ…せーえき…っ出したい…っ!」

はしたないおねだりにイワン自身も興奮していた。がくがくと腰が無意識に揺れる。もうあと少し触られたらイワンは射精するだろう。尿道にまで精液が来ているが、あと少しの刺激が足りない。
バーナビーはイワンの中に入れた指はそのままに、もう片方の手を中心に伸ばす。イワンは口を閉じることを忘れ、その手が自分の昂りに触れてくるのを息を荒くして待った。

「勿体ないので、駄目です」
「あぁっ…!」

自身の下の玉を掴まれぐっと引っ張られる。射精のタイミングをずらされイワンは目を見開いた。溜まった涙がこぼれ落ちる。
放出されるべき精液がバーナビーの掴む双球へ戻っていく感覚に足をばたつかせた。

「あっ…はなしてぇ!お願いだからあぁっ」
「先輩もう射精じゃ物足りないでしょ?」
「も、やだっ…いきたい…いきたいのに…っ」
「ここでイキましょう?ね?」

そういうとずっと動きを止めていた指による前立腺刺激を再開させた。イワンの体がびくんと大きく揺れる。

「アアっ…!ああぁっ…やだっそれだめっ、あっあっ、だめぇっ!」
「ふふ、知ってますよ。焦らされてここ触られたら先輩イキっぱなしになっちゃいますもんね」
「あ、あぁっ、あぁぁっ、ぐりぐりしなっでっ!あぁ…っひゃ、やめてぇ!」

バーナビーの指が容赦なくイワンの前立腺を叩く。イワンは下半身の快楽が全身に広がり溺れているかのようにはくはくと荒い呼吸を繰り返した。
大きな痙攣の間隔が狭くなればそれはもうすぐイワンを今までとは比べ物にならない程の強烈な快感が襲う合図だった。

「はい、先輩。舌噛まないように気を付けてくださいね」
「やっ、やなのおおッ!これっ、いったら、っかしく…っひゃ…あ、あ、くるっ、あっあっあぁっぁああああああっ」

バーナビーがとどめにと前立腺を指で挟みながら揺するとイワンの身体に大きな絶頂が訪れた。射精の時の下半身だけの快感とは違って、精液が出ないオーガズムは長時間イワンを襲う。白い首筋を反らし目を見開きよだれを垂らす。口は呼吸を忘れたようだ。びくびくと大きく身体を仰け反らせ快感の中へ突き落とされる。これもバーナビーの調教の賜物だった。

「あ、あ、…っひ…は…あっ、あぁ…!」
「気持ち良いですか…?先輩…」

オーガズムに溶けるイワンをバーナビーはうっとりと眺める。もうイワンの目は虚ろで何も見ていなかった。絶頂し時折痙攣を繰り返すイワンの蜜壷から指をずるりと引き抜けば、イワンはまた快感に突き落とされ身体を震わせた。

「あん…!バー…ナビっさ…今だめっ…」
「知ってます、まだイってるんですよね。でも、僕もう我慢出来ないので入れますよ」
「っ…やだ…だっ…っひゃああああっ」

バーナビーの剛直がイワンの溶けきりひくつく蜜壷を突き上げる。その際に前立腺強く押されイワンはがくがくとまた震えた。終わることなく次から次へとやって来る快感にイワンはもうただただ喘ぎ身体を痙攣させるばかりだった。
バーナビーはその痙攣するイワンを楽しむようにゆっくりとピストンを繰り返す。イワンの中は溶けてしまいそうな程熱く、バーナビーは熱い息を吐く。

「先輩の中…びくびくしてて、凄い気持ち良いですよ…」
「あっあんっひっ」
「ああ…精液出したいっていってましたよね。そういえば」

そういうとバーナビーはイワンの自身を握り、腰の動きと合わせてしごき始めた。

「あっあぐっあ゛っあぁ…」

絶頂に重なる絶頂にイワンは最早苦し気に喘いだ。しかし、自身はバーナビーの手淫に合わせて先走りを溢し、どんどん固さを増し更なる絶頂への準備を始めた。
あんなに待ち望んでいた射精だが、この状況で射精したら本当に壊れてしまうかもしれない。イワンは腰を引いてその手から逃げようとするが、すると後ろからぐんっとバーナビーに突き上げられ追い詰められる。
意識を手放せたらどんなに楽だろう。イワンは快楽の中そう思った。もうこれ以上は頭がおかしくなる。やめてくれと心の中で叫ぶが口から出るのは喘ぎ声だけだった。

「んっひっあっああっいくっあああっ」

自身と内腿をひきつらせイワンは射精した。散々焦らされたせいか勢いはなくだらだらとイワンの自身を汚していく。射精時の締め付けにバーナビーもイワンの中で果て、ゆっくりと自身を抜き去った後ぎゅっと抱きしめればイワンはまた小さく喘いだ。

「バー…ナビ…さ…っ」
「凄く可愛かったです」
「ん…っ」

バーナビーは満足気に微笑みイワンに軽いくちづけをする。ようやく熱が収まりイワンに疲労と眠気が訪れた。自身の体液で汚れた下半身をそのままにうとうとするイワンの頭を撫でながらその髪に唇を落とす。

「先輩、愛してます」
「ん…っぼくも…」
「…良かった。先輩、おやすみなさい」

安堵したはずのバーナビーの表情はあの時と同じ、悲しそうな表情だった。

何が彼をこんな表情にさせているんだ。

今日もイワンはその答えを導くことなく、眠りに身を任せた。


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