いただきまあす

時刻は5時過ぎ、シュテルンビルドが黄昏時のオレンジに染まる。

虎徹はシャワーを浴び終えロッカールームに入ると、真ん中に置かれたベンチに人が座ってることに気付いた。

頭にタオルを被った人物が驚いた様子でこちらを見る。
虎徹はその俊敏さに一瞬驚くがこちらよりも向こうの方が驚いて固まっているようだ。

「よ、よお、折紙…」
「タイガーさん、お疲れ様です…」

何故こんな気まずい空気なんだ?と虎徹は思ったが、とりあえず自分のロッカーの元へと移動した。

「早く着替えないと風邪ひくぞ。また日記のコメントチェックか?」

髪の毛を拭きながら虎徹はイワンに言った。イワンがトレーニングセンターを後にしたのは自分より30分程先だ。シャワーをどのくらい浴びたのかは解らないが少なくとも10分くらいは頭にタオルを被りパンツ1枚だけの状態だったのだろう。
子を持つ身としてこれは見過ごせない。

「すみません、着替えます…」
「おー」

イワンは携帯をベンチに置きタオルで2、3回髪を拭くとタオルをベンチに置いた。
虎徹はふと考える。そう言えば、イワンがヒーローに成って一年以上経つがイワンとこうしてロッカーで会うのは初めてじゃないか?それとも自分が忘れているだけだろうか。まあ、何はともあれ珍しいなあと考えながら虎徹はボトムスに足を通した。

まさか、背中に女の引っ掻きキズがあったり?と思いこっそりベンチを挟んだ斜め後ろにいるイワンを盗み見た。
のそのそとタンクトップに頭を通すところだったイワンの背中は傷一つなく真っ白だ。そして、その背中に虎徹は見とれてしまう。

すぐに隠れてしまったが余りにも美しい背中だったのだ。
ゴクリと思わず唾を呑み込む。
イワンの私服はだぼついているため、まじまじと体型を見るとかなり華奢だ。きゅっ上を向いた尻は小ぶりながら弾力がありそうでタンクトップから伸びた足もほっそりと、しかし筋ばっておらず張りがある。と、善からぬことを考えた。

その時ロッカーにかけられた小さな鏡越しにイワンと目が合ってしまう。

「…?あの、どうかしましたか?」
「あっいや!あー…」

咄嗟に目を反らそうと思ったが話し掛けられてしまい狼狽える。
不味い、まさかお前の後ろ姿見てムラッときてたなんて言えるはずもなく言い訳になるような言葉を探す。

「おっ、お前いっつもだぼだぼな服着てるよな。いや!ファッションなのはわかってるけど」

誤魔化せただろうか?内心ハラハラしながらイワンを伺うと、俯いてしまっていた。

ヤバい、いつも見てる変態親父だと思われたか。違う、いつもは父親視点でお前と接しているんだが、今日は疲れてついムラッと来てしまったんだ。ほら!髪の毛も濡れて雰囲気違うし、そんな風にタンクトップだけ着て裾持って俯かれると本当その無自覚な色気にあてられちゃって…!

「ぼ、僕、鍛えても筋肉付き難い体質らしいんです。華奢なのが…その、恥ずかしくて…」
「へ?」

苦しい言い訳に俯いていた訳じゃないのかと虎徹は胸を撫で下ろした。

「トレーニングメニューもちゃんとこなしてるのに…」
「た、体質なら仕方ないじゃないか?」
「でも…!バイソンさんやスカイハイさんとまでは行かなくても、タイガーくらいには成りたいです…」

誉められてるのか解らないことを言われた。年頃で体のコンプレックスというのはデリケートな問題だ。しかし虎徹にはそれをフォローする繊細さは持ち合わせておらず筋肉隆々なイワンを想像して興奮が冷めていくのを感じた。

「いや、あいつらプロテインとか飲んでるし鍛え方が違うんだよ」
「僕もプロテイン飲んだんですけど、余計な肉しか付かなくて筋肉じゃないんです…」
「うーん」
「やっぱり僕おかしいんだ…」

イワンのアメジストの目に涙が滲む。またその表情に虎徹は唾を飲んだ。
これ以上は不味い、不味いとわかっているがもう適当にはぐらかしたり納得させるという考えは浮かばない。

「よし、ちょっとおじさんがチェックしてやる」
「え…?」

虎徹が笑顔で言うとイワンは狼狽えた。当然だ、華奢な体がコンプレックスという話で体をチェックされるの嫌に決まっているだろう。

「あ…それはいいですっ」
「えー、でもお前がどのくらい筋肉付いてるか解んないし、それで助言も何も出来ないだろ?」
「う…そうですけど」
「何、恥ずかしいの?」

イワンの正面へ歩みより両肩に手を乗せ顔を覗き込むように訊ねる。図星をつかれたイワンは赤面して虎徹から視線を逸らした。

あーあ、駄目だろそんな顔しちゃ。

「男同士なんだから、気にすんなって?まあ、任せろ」
「う…。じゃ、じゃあ、お願いします」

イワンは観念したのか肩の力を抜いた。

「よし、まず腕な」

そう言って二の腕をガシッと掴む。イワンは驚いたのかビクッと体が跳ねた。

イワンの腕を握ったり放したりしてそれらしく確かめる。男の腕にしては確かに細く柔らかい。本当に筋肉が付かない体質なんだなあと虎徹は思った。

「んっ…タイガーさん、あの」
「どうした?」
「く、くすぐったい…です」
「ああ、ごめん」

おまけに敏感体質。虎徹はイワンに気付かれないように笑った。ぱっと手を離す。

「い、いえ!すみません続けてください!」
「おう」

今度は両腕の太さを比べるように触っていく。

「んー、やっぱり右の方が付いてるな。左もう少し鍛えた方が良いかも」
「は、はいっ」
「よしじゃあ、次背中な。脱いで」

さも当然かのように言うとイワンは少し戸惑いながらもタンクトップを脱いでくれた。さっきは風邪ひくぞとか言っておいて、自分が今してる行為に苦笑する。

さき程チラ見した背中が目の前にあるのだ虎徹は自分が段々興奮しているのを感じた。少し汗ばんだ手をイワンの背中に添える。

「…っ」
「背中は無駄な肉無くて凄い良いと思うぜ」
「っほんとですか…?」
「うん、キレイキレイ」

肩甲骨から親指は背骨をなぞるように他の指は脇から脇腹を確かめる様に触っていく。イワンは時々息を詰まらせいる。虎徹と同じように背中が温かく汗が滲む。
イワンも感じているのかと虎徹は嬉しくなった。

「しかし、腰細いなー」
「…っ!」
「折紙、筋肉とか言う前にもう少し太った方が良いぞ?」
「う…はい…」

男の癖にくびれがあるなんてけしからん!
虎徹は腰を何度も確かめるように触ってイワンはその手から逃げる様に身を捩る。細やかな抵抗に逃がさないと言う様に臀部に触れた。

「ひ…っ」
「ケツもちいせえし…。もっと食べるんだな」

流石にここはあまり触りすぎては怪しまれると思って直ぐに手を離した。充分もう怪しいがここまで来たらもっとしたい虎徹はそう考えていた。

「さ、次はこっちー」
「わっ」

くるっとイワンをこちらに向ける。イワンの顔は微かに赤い。胸筋に手を添える、ふりして乳首を指先で掠める。するとイワンはビクっと震えた。

「ぁんっ」
「お?」
「タイガーさん、手…」
「あー…わり、感じちゃった?」

慌てて口元を抑えるイワンに意地悪く笑う。イワンは顔を真っ赤にして首を横に振った。

「そ?じゃあ続けるぞ」
「へ…」

先ほど背中をなぞったのと同じ様にして腹部に触れる。触るたびにイワンが息をのむせいで震える。それが面白くて何度も何度も脇腹を擦った。

この性格だし童貞であるのは明らかだ。他人に触られるのにも慣れておらず敏感体質。そんな人間がこうも長時間焦らされるように触られて平気なはず無いだろう。
しかし、虎徹はあくまでも真面目を装う。あと少しだ。

「腹筋は割りと付いてるな。もう少しすれば割れるんじゃねえか?」
「…っ…タイガーさ、も…」
「はい、これで上半身終わり、次は下半身な」
「や、もういいです…!」
「何で?」

イワンは内股を擦りあわせている。随分前から反応はしていると思ったがそろそろ限界か。

「これ以上はもう…」
「これ以上触られるとここが辛い?」

そう言ってイワンのパンツをずり下げた。虎徹の予想通りイワンの中心は緩く勃ち上がっている。慌てて隠すイワンよりも素早くそこを逆手で掴んだ。

「ひあっ…タイガーさ…は、離して…痛…っ」
「ダイジョーブ、別に潰しやしないって」
「ひゃっ…んぅ」

急所を掴まれ抵抗もままならないイワンの背後に回る。虎徹にすっぽりと収まるイワンの首筋に顔を埋める。シャンプーの匂いに興奮した。

「ごめんなー、もうおじさん限界なんだわ」
「…な、に?」
「いやまだまだ現役というかさ?これ、解る?」


勃起したそれをイワンの臀部に擦り付ける。イワンはビクリと体を震わせた。

「ごめん、おじさんに食べられて?」


虎徹は厭らしくイワンに囁いた。



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イワンくんの背中は絶対綺麗だと思う。
おじさんはむっつりなんだ…。

最後まで致す予定でしたが、藤原がエロを書くと長くなるのでこの辺で。

骨までしゃぶられろ、折紙よ。



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