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ぱちぱち
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【虎折】
仕事が終わったらどちらかの家で晩御飯を食べる。こんな関係になってからいつの間にか出来たルールみたいなものだった。
今日も仕事が終わり虎徹の家で晩御飯のチャーハンを食べながら日本の時代物のドラマを見ていた二人。片付けは自分がと言うイワンにテレビを見とくように言い、虎徹は皿洗いを開始した。
皿洗いを終えソファに座るイワンのもとへ戻るとイワンは静かな寝息をたてて眠っており。虎徹は愛しい寝顔を優しく撫で、小さくため息を吐いた。
「…またお預けか」
これが初めてではない、ヒーローという職業は肉体労働だ。出動がない時もトレーニングは欠かせないものだし特に最近見切れ以外にも活躍を見せるこの年下ヒーローのトレーニング量は以前よりも多くなっている。
疲れているイワンは眠ってしまえば中々起きない。
もう若くはない、だが虎徹も男だ子供と大人の間にいるイワンの無意識に発せられる色香に我慢するのは一苦労だった。
「俺が悪い大人だったらどうすんの?」
猫みたいにコンパクトに寝るイワンにブランケットを掛けて掻き分けた前髪に唇を落とす。もぞりと動く姿の愛らしさに思わず笑みが零れた。
親愛と恋愛の区別がつかず戸惑い、それでも近付くイワンが可愛くて丸め込んでしまった。こんな子供とこんな甘い関係だなんて、ましてや男同士、スキャンダラス過ぎる。
いつか、イワンがこの関係がおかしいと気付いたら虎徹はイワンを解放する気だ。だが、それまではイワンを離すつもりはない。
「口にキスしてくれないんですか…」
髪を撫でてたらイワンの唇が動いた。紫の綺麗な瞳と目が合ったらイワンはクスクスと笑いながら上体を起こした。こういう時々どきっとするくらい大人っぽい場面がある。
「起こしちまったな、悪い」
「本当に虎徹さんは悪い人です」
「悪かったって…」
なだめる様に頭を撫でれば、気持ち良さそうに目を閉じた。いつもは恥ずかしがるか、子供扱いだと不満そうにするはずなのに。寝ぼけているのだろうか。
「してくれますか?キス」
「ああ、なんでもしてやる」
「…キス以上の事も?」
「よろこんで」
イワンの厚い唇に口付ければ、どちらからもともわず舌が絡み合う。 そのまま、イワンの体を持ち上げた。職業柄筋トレは欠かせないのでまだイワンくらいなら力を使わずとも大丈夫だ。イワンの腕が虎徹の首に絡み付く。
「好きです」
掠れた声の不意討ちに虎徹は笑った。
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