小説 | ナノ


風靡、おまえの恋は皮一枚、筋肉細胞がこんにちは、表紙だけのお話、付属品だけがお目当て、付録に執着、剥がした後には興味がない、一部の内臓を奪い合う。薄っぺらな大脳が耽美なリズムで夜通し踊る。

「絶賛失恋ちゅー」
グズグズと鼻をすすりながら、マックのテーブルで突っ伏してやんの。
「もーやだ…人なんか好きになるもんか…」
「俺んち犬二匹飼ってるからさ〜」
「いらんわい!」
この前あったコイツの女はパピヨンっぽいクソ生意気そうな女だったっけ。
俺はコイツの彼女は会えば脳内で犯すと決め ている。何かムカつくから。
「おれタレ目でツリ眉のおんなによわい、もう見た目がドストライクなの」
知ってるよ。
「あと激情型自己中の浮気性ね」
「言わないでー!」
まさかあの子も浮気するなんて…タレ目ツリ眉 は浮気しないって都市伝説だ、とブツブツ漏らす横顔はその女より可愛い。あーさわりてー。ていうか、そんな都市伝説ねーし。
「いつまでも泣いてんな、きもい」
「カワイー子紹介してくれんなら泣かない」
「切り替え早!」
ねー、そんな女の為に泣かないでよ。言えたら楽だろーね、言わないけど。
切り替えの早さに爆笑を装いつつも、涙目なのはおかしいからじゃないからね。
「ていうか、何でお前は彼女作らんわけ?」
コイツ、馬鹿なんだよね。まじ大脳ツルツル。はっきり言っててめーなんか俺のオナネタなわけ、修学旅行の時はてめーの寝顔で3回は抜いたね。だからぱっちりお目目で見つめてくるんじゃねえ。
「学生の頃、庭いじりの称号をもらったお前が彼女なしとか」
庭いじりね、懐かしすぎて爆笑ものです。
あちこちに種ばらまいて、まめにメール送って る様はまじガーデニング。
グリーンメンと呼ばれてもおかしくなかったかも。
「俺くらいの男になると女にガツガツしなくなるもんなの」
まじうぜえって腹抱えてますけど、アナタのせいですからね。
お前のこと好きになってゲイになったかと焦っての行動だぞ!
俺の不安をよそに男で興奮するのはお前だけだと判明したが。
「あ」
「あ?」
「彼女からメールきた」
「パピ…浮気女?」
「ごめんね、仲直りしよだって!あーなんだかんだいっても超タイプ!」
「…きも」
やったー!って手放しで喜ぶ馬鹿にジャーマンかましたくなって泣けてきた。

お目目ぱっちりの切開跡が口を狭めて笑って る。ソコにふかした煙草をねじ込んで腕にケミカルぶっ刺したら、真っ二つに折れたお前にストロー差し込んで啜りたい。

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