分かれ道とその行方

警察が雪崩れ込んできたラジオ塔から部下の放ったドガースの煙幕に紛れて脱出した。仲間達も命令通り千々に散っていったようだ。
草陰に隠れて警察の様子を伺っていたけれど、もうここも危ないだろう。
私もそろそろ離れなければとゴルバットをボールから出した。私の“ 目的地 ”は命令を素直に聞いているとすればもう何処かへ逃げているはず。飛行タイプは持っていないから逃走手段は徒歩に限られる。ならば、まだ追い付けるだろう。

「さぁゴルバット、ナマエの後を追いますよ」

あらかじめナマエに仕込んでおいたゴルバットの好きな匂いを辿らせると、どうやら山の方へ向かったようであった。
とりあえずは命令を守っているようですね。ホッと息をつき、早く合流しなければと暗闇の中へと駆け出した。
急がなければならないような気がして、何故だか心が騒ついている。

「余計なこと、考えないで下さいね……」

天涯孤独のナマエがロケット団という組織に異様なほど依存していたのは知っていた。だからこの組織がなくなった時、彼女は一体どんな選択をするのだろうか気にはなっていたのだが、まさかこんなにも早くその日が来るなんて想定外だった。

「くそ、どんだけの距離を逃げてるんですあいつは……」

もうだいぶ歩いたと思うのだけれど、まだまだその背中さえも見えない。しかしゴルバットはひたすらに前を向き羽ばたき続けていた。

「……ハァ……、疲れましたね」

何時間歩いたのだろう、一向に縮まらない距離に焦燥感だけが増してゆく。
ひとつだけ前向きに捉えられるのは、この縮まらない距離の分だけナマエにまだ逃げようという意思があるのだということだ。
ただ休憩くらいは挟んでも構わないんですよ、と心の中で舌打ちをした。

「っと、分かれ道ですか……?」

右の道は険しく急な登り道、左の道は緩やかで整備のされている道。
ゴルバットが分かれ道の前でクルクルと回っているということはきっと先は繋がっているのだろう。

「困りましたね……」

右の獣道は急な登りだけれど、その分距離は短いのだろう。しかし今の自分の体力で登るのは少し難しそうだ……。
左の道は、緩やかで比較的歩きやすい道になってはいるが、右の道よりも距離は長いのだと思われる。

さて、どちらで行こうか。

右の道 / 左の道


バッドエンドが苦手な方へヒント










ランスに鞭打ってみてください。


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