弐拾肆
※ ***視点
ご先祖様方は、私の言葉の真偽をはかりかねている。
未来から来た人間だというのは信じてもらえただろうか。
人智を超えた力は、未来にいくつもの弊害をもたらしているとも気づいてもらえただろうか。
歴史を重ねていく度に、人々の持つ婆娑羅の力は強くなっていた。
力の副作用かは知らないが、婆娑羅を持つ人の中には何事も争いで解決しようとする血気盛んなものが多い。
それも純粋な強さを求めたり、血が踊るような戦いに陶酔してしまったりと、戦いに依存しているものが多かった。
争いが争いを呼び、支配者や統率者が何度現れても、更なる強きがねじ伏せていく。
平和な世は続かない。まさに乱世だった。
そんな世に、私は生まれた。
隔世遺伝により祖母の能力と、それから遠いご先祖様の力を引き継いでしまったらしい。
幼い頃はさして気にならなかった能力だったが、ある日、自分の能力が恐ろしいまでに凶悪な力だということに気づいた。
婆娑羅持ちは国に申請しなければいけない法律があった時代もあったそうだが、私が生まれた年に統率者が変わり法律も変わった為、私は力を隠すことが可能だった。
ただ、それは幸運ではなかった。
"自分を除く様々なものを殺す力"
中学生が考えるような能力だと自分でも思っている。
生きとし生けるもの、全てに使用することができた。これはある人物に巣食う病気など、細かく指定することも可能だった。
そして……まぁ、平たく言えば私はそれを悪用してしまったのだ。
「私はこれをなかったことにしたい」
「ほざくな。貴様の尻拭いなど誰がするか」
「何言ってんの? 君らに拒否権なんて与えるわけないだろうが」
にこりと表面上の笑みを浮かべる。
続けざまに悪態をつこうとした三成が黙り込んだのを確認し、笑顔を保ったまま言葉を続けた。
この事態は自業自得。
本当ならば私一人で責任を取らなければならない。だが、私一人ではどうにもならなくなってしまったのも事実。
だからこそ、私は私を呼び、こんな舞台を準備した。
金ピカの兜を外した家康が、迷いながらも口を開いた。
「ワシらの努力次第で未来はどうにかできねぇのか。力を合わせればきっと」
「別に誰かが悪い、なんて問題じゃない。皆本能に従って戦っているだけ。
それに、どちらかといえば未来を壊したのは私自身だから」
「……それでおめぇはどうしたいんだ。無かったことにって先祖でも殺すつもりか?」
「はじめは考えたさ。私が生まれる可能性を消せば未来は救えるんじゃないかと。だけれど、結局私のような人間が生まれれば意味はないし、親を間接的にも殺すのも……ね?」
そう、根本的な問題は解決できない。
だから、私は世界の基を変えることにした。