間違った歓迎会


久しぶり、と満面の笑顔を浮かべ手を振った瞬間、串刺しにされる人間って世の中に何人ぐらいいるんだろう。
風穴の空いた腹部を見下ろし、ふと考えた。




間違った歓迎会




一本の刀と二本の槍。計三本の刃に貫かれる。
位置的に心臓、肺、腎臓、肝臓……かな。
腸も危ういな。中で絡まったら、抜こうとした瞬間出てきちゃうんだけど。
こぽり、とこみ上げてくる血を吐き出し、仮面の男達――三好三人衆――を見上げた。

殺意も悪意も感じないが、なんとなく嫌悪感は分かる。
本当こいつら私のこと嫌いだな。
仮面に隠された素顔は見ることができない。だが、前の三好三人衆とは違うようだ。



「また"足した"のか?」

「そうだ」

「私のこと刺さない、とか考える人いないの?」

「いないな」



即答か。何度入れ替わっても、私を刺すつもりらしい。
ま、どんなに交流を深めても次に会うときには違う三好三人衆になっているしな。
仕方がないと言えば仕方がない。



「って納得できるかーっ!」

「どうした。騒がしいな」

「いつものことだ」

「死人に口なし、黙らせばいい」

「こらこら、これ以上刺してどうする。穴のあいた服はお前らが直してくれるんだろうな」

「何、燃やせばいいのだよ」

「いっ……!?」


背後からかかる声に振り返った瞬間の爆撃。
刃を抜いてもらったのが幸いか。鎌を盾にでき、服を護ることができた。
右腕と足先が焦げたのは愛嬌だ。
肌が爛れ、肉が露出したのを見て気が滅入ったが。

のんびりと足音が近づいてくる。
だが、同時に第二撃が迫ってくるのに気づき、すぐさまその場から離れた。


「ま、つながぁ! お前ふざけんなよ!」

「私はいつでも本気だが……。ふむ、ふざけていると言われるのは面白くない。
手加減せずに頭の一つでも吹き飛ばすのがお望みかね」

「お茶でもどうかと誘ってきて、爆発でお出迎えってどういうことだ!」

「卿は派手な方が好みかと思ってね」

「残念ながら自虐的趣味は無くてさ。お茶が出ないなら帰るよ」


即座に回れ右。さっさと帰ろうとすると、呼び止められる。
爆撃がいつの間にか止んでいた。
振り返ると陥没した地面を避けるように松永がこちらに歩いてきていた。
避難していた三好三人衆もちゃっかりいるのが気になる。



「お茶なら準備してあるよ。屋敷に招待しよう」

「我らは正直言うと帰って欲しいが」

「庭の後片付けを任せたいから」

「歓迎しよう」

「帰りてー……」




お茶だけ飲んだら、帰ろう。
そう思いつつ素直に招待された。
だが、お茶を一口含んだ瞬間爆発するなんて誰が予想しただろうか。

楽しそうに笑う松永に、私は三好三人衆の一人を引っつかんで投げてやった。
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