陸
と、画面が上にスライドされる。気づいたときには佐助に取り上げられていた。
すぐさま手を伸ばすが指先すら掠らない。身長差が憎い!
「コレは担保ね」
「担保?」
「では問うが黒兎、未来では戦はないのか? 平和なのだな?」
「そうだね。今は、ない。平和だと言えるよ」
日本では。だけどそれを彼らに伝える必要はない。
知らなくてもいいことだ。
「黒兎、その知識武田のために使う気はないか」
「私に兵になれって?」
「いや、黒兎には歩き神子として働いてもらいたい」
歩き巫女。聞いたことはある。
確か各地を回り、芸や舞を見せて稼ぐ。
時には体を売ることもあった。
そしてそれを利用し、情報収集をした武将が武田信玄らしい。
「巫女さんかぁ」
「神子じゃ」
「だから巫女じゃないの?」
「神子」