「好きです、嫁に来て下さい!」

「よし嫁ごう」

「お館様ぁああああ、誑かされてはなりませぬ! 天狗め、某は認めぬぞ!!」

「はーっはっはっ、私の愛は幸村の腹筋であろうと止められない!」

「な、何ゆえ某の名前を!?」

「お館様を娶れて機嫌良いから仕返しはやめて、笑い話でもしようか。絵空事だって笑われるような話をさ」


敵意を燃やす幸村に、殺意を込めた熱い視線を送る佐助。
そして愛すべき嫁に語るべく、ゆっくりと口を開いた。


「未来から来て、ここで死にました。終わり」

「そ、そうでござったか」

「なんで旦那納得してんの!? どう考えても嘘っぱちじゃん!」

「佐助は疑り深いなぁ。何、その目。知ってるよ、未来じゃ偉人として有名だからね。少なくても400年は語り継がれているぐらいには。
かすがの胸には夢がいっぱい詰まってるよね。対謙信さんのデレ具合も凄いし。
幸村は団子が好物なんだっけ。しかも初心ですぐ破廉恥破廉恥。どこまで妄想しちゃってるんだか。
お館様は謙信さんとの決着は着いたのかな。あと厠を広く作ってそこで書を認(したた)めたり、作戦考えたりしてるんだって?」


知りすぎている。武器を構える赤と迷彩を止めるお館様にときめきつつ、証拠を出す。
携帯――期待したがやはり圏外だ――で庭の写真を撮り、三人に画面を見せる。
三人は景色と画面を見比べ、目を丸くした。


「徳川や長曾我部、南蛮人でもこんな技術持ってない。
未来にはこうやって見たままの景色を写し取る技術もある。それ、と」


ムービーに切り替え、三人を画面内に収める。


「何か喋って」

「な、何かと言われても」


これで十分だ。もう一度三人に画面を向け、ムービーを再生した。
動く三人に、先程の会話が再現される。
見たことのない信じられない技術に驚く三人をニヤニヤと見、ムービーを保存する。
お宝ムービーゲット! ニヤニヤ。
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