俺と彼女の身長は40cm以上の差がある。
長時間歩きながら話していると、時折彼女が首を回す。
「どげんしたと?」
「ずっと見上げているので、首が痛いです」
「おお、すんまっせん」
「どうしました?屈んだりして」
「これなら顔の高さ、一緒たい」
互いの真ん前にある顔は自然と笑顔になる。
「ふふ、ありがとうございます、可愛い人」
「可愛いは余計ばい」
「よしよし」
「なして頭撫でると」
「だって、いつもだったら、なかなか手が届かないんですもの」
「ん」
頭を撫でる手が決して嫌ではないから、されるがままになる。
…………。
「いつまで撫でると?」
「もふもふ」
「はいはい」
まともに返事をくれないくらいに夢中らしい。
いつの間にか両手で髪の感触を確めるように触っている。
彼女の顔が実に幸せそうなので、もうしばらく好きにさせてあげることにする。
←main