ラタ騎士で現ぱろ的なお話3
2015/03/13 17:07
「………………おい、なんだこれは」
この部屋の主、リヒターの前にあるのはとんでもない量の肉とお菓子、そして申し訳程度の野菜が入った大量のレジ袋だった。買いすぎるなと言っておいたはずだがと問うと、肩を落として謝るエミルの横でラタトスクが「全部食うから別に良いだろ。ちゃんと安いの選んだぞ」と悪びれもなく答えたのだった。
リヒターは少量の小銭しかなくなってしまった自身の財布を見て、憎たらしいラタトスクをもう一度閉め出してやろうかとも考えたが、二人で食べきれるような量でもないのでやめておくことにしたのだった。
量が量なのでアステルも呼ぼうかと電話を手にしたその時、誰かがインターホンも鳴らさずにドアを開けて入ってきた。
「おじゃましまーす!鍋、持ってきたよ!」
大きな鍋を下げ、元気な声で挨拶をしたのはマルタである。突然の来訪者に驚いたリヒターは一瞬目を丸くすると、溜め息をついた。
鍋は人数が多い方が楽しいとのことで結局アステルも呼ぶことになり、30分後に小さなパーティが始まった。
「………………」
ぐつぐつと煮える鍋の中に見えるのは肉と、肉と、肉…とお麩とねぎと卵としいたけが少し。肝心のうどんはとても見えない。
「これじゃ味噌煮込み肉だね…」
「だね…」
「うどんほんとに入れたの?」
あまりの肉の量に皆が驚いて手を止める中、ラタトスクだけは満足といった表情で鍋を見つめている。そして半分程をひょいひょいと自分の器に取り分けていったのだった。
やっと肉の中から顔を出した麺はあっという間に無くなってしまい、アステルが物足りないと言いたげな顔をしている。
「うーん、麺が足りないな〜リヒター、手打ちで作ってよ」
「だめだめ!絶対、だめ!」
例え小麦粉を練り上げるだけだとしても、何が錬成されるかわかったものではない。という理由から早々に却下されたのだった。
皆がアステルの提案に気をとられている間に、何かを思い付いたリヒターは立ち上がりとあるものを運んできた。ぺりぺりと蓋を捲り、味噌味の鍋の中に放り込んでやる。
「おい…リヒター…てめえなにしてやがる……」
「麺が足りないんだろう」
「だからってなんで添加物の塊を放り込んでんだよ!しかも味混ざるだろうが!」
こうして二人の戦いが始まったしまった。その後麺を食べたエミルがあまりの不味さに倒れてしまったのはまた別のお話。
ちゃんちゃん!なんとか終わったような終われてないような……ほんとはバレンタインに繋げたかったんですがとっくの昔に終わってるっていうね。マルタちゃんの手作りチョコは大丈夫なんでしょうか!トリュフとか生チョコなら作れそうだけど湯煎で失敗してぷるぷるになるだろうなあ…
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