「あれ……」

何時ものように自室でパソコンを弄っていた澪は、突然不思議そうな声を上げて画面から顔を離した。
隣で別のパソコンを弄っていた汐も、その声に反応して視線を彼の方に向ける。

澪は目を擦ったりまばたきを繰り返したりしており、目に何かあったのかと少し心配になる。


「どうした?」
「いや、なんか少し前から画面が見づらくて……」


眉間にシワを寄せて画面を見る澪の顔に跡が残っては大変だと、指で軽く撫でながら、彼の言葉の意味を考える。
画面が見にくいという言葉だけでは色々な疾患を想像してしまうが、何となく職業病と言っても良いような原因をすぐに思い出す。


「視力が下がったんじゃないのか?」
「え?」

四六時中パソコンの液晶を見続けていたら、それこそ視力に下がってくださいと言っているようなものだ。
実を言うと汐もかなり視力が低下しており、そろそろ何とかしなければと思っていたところだ。

「そうなのかな?」

「多分な。近いうちに眼鏡でも見に行くか」


いまいち視力の低下を自覚していない澪は、不思議そうに首を傾げながら頷いた。

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