3 「は……ははっ……そうか、本当に何も覚えてないんだな!」 ぱしん、と軽く渇いた音が真音の笑い声とともに部屋中に響いた。 目の前には、抵抗のそぶりも見せずに殴られベッドに伏せる“片割れ”の姿。 「これでもうあの野郎の事を考えなくなるんだよな!オレの、オレだけの蜜歌に戻るんだな!あの野郎に会う前に戻るんだよ蜜歌っ!」 真音の高笑いに当てられたのか、蜜歌の顔にゆっくりと表情が浮かぶ。 歓喜。 そして狂喜。 真音にとって、最近は気に入らないことばかりだった。 生まれたときからずっと共に生きてきた片割れが、他人−−彩花ばかり見ているのが気に入らなくて。 彩花に対して世話を焼くことを彼自身が進んでやるのが許せなくて。 いつしか、自分といるより彩花といる時間が多くなっていたのが許せなかった。 「なあ蜜歌、話せるか?話せないだろ?そうだよなあ、だってあの二人が言ってたからな。お前は忘れたものが多すぎて、まるで赤ん坊だってな!」 蜜歌の銃が暴発したことは確かに許せない。 それこそ、その時周りにいた全ての人間を殺したとしても治ま ることが無いと思えるくらい。 しかし、それによって彼の記憶が消えてしまった事は幸運としか言いようが無いだろう。 何故なら、彼が関わりに行くことで成り立っていた彩花との繋がりも、消えてしまったのだから。 「蜜歌……もう逃がさねえからな」 ◇◆◇◆◇◆◇ すみません、ここで一旦区切ります。 続き……は、書くとは思いますが、もしかしたら続かないかも知れません。 人によってはかなり不愉快になると思われますので、苦情などが来なかったりしたら続きアップします。 ちなみに、健忘症についての説明は専門家でないので間違っていると思われますので、あまり深く考えないでください。 [*prev] | [next#] (←) |