喪失 世の中の瑣事なんて気にせずに ただ貴方と静かに過ごしたい その為に邪魔者なんて 殺してしまおうか−− 「……銃の暴発?」 「そう、訓練中にいきなり」 その日、真音はいつものように訓練を終えて自室に帰る途中だった。 その途中で後ろから電脳双子に呼び止められ、狙撃訓練の最中に銃が暴発したと聞かされた。 その日の真音はかがりやいさりと共に別メニューの訓練を受けており、そんな事など露ほども知らなかったのだ。 「暴発したのが……蜜歌のなんだ」 「蜜歌の!?」 「あいつはお前のような改造は受けてないから、すぐに復帰は無理だ。今は治療を受けて自室で休んでる」 言葉が終わるなり駆けだそうとした真音の手を掴み、二人はとても言いづらそうに口を開いた。 「真音、落ち着いて聞いてほしい。蜜歌は−−」 そのあとに続いた言葉が悪いことだということは、医学に詳しくない真音でもすぐにわかってしまった。 それこそ、聞かなかったことにしてしまいたいほどに。 「蜜歌っ!」 息を切らしながら駆けた真音は、扉を壊さんばかりの勢いで蜜歌のいるであろう部屋へと飛び込む。 最初に目に入ったのは、ただ目を閉じてベッドに座っている蜜歌の姿だった。 [*prev] | [next#] (←) |