「蜜歌、もういいですか?」


真音が寝入ってから少し経った頃、彩花は唐突に蜜歌に話し掛けた。
蜜歌はそれまで見ていた真音から視線を外し、笑顔で頷く。

「あ、うん。彩花ありがとう!」

「いいえ、学校でのめぇの写真と動画が頂けるのなら、いつでも喜んで」
「もう、彩花ったら」


雨丸はひざ枕の状態から少し起き上がり、向きを変えて彩花の腰に抱き着いた。


「それにしても、ひざ枕の写真が欲しいなら欲しいって、直接言えば良いじゃないですかー」
「だって真音撮らせてくれないもん。氷魚、ちゃんと撮れてる?」

それまで完全に忘れ去られていた氷魚は、蜜歌の言葉に頷くと先程まで撮っていた隠し撮り写真のデータを確認する。
そこには、蜜歌のひざ枕で眠る真音がしっかり撮られていた。


「めぇ、帰ろう?」

「うんっ」
「じゃあ、ボクも帰ろうかな」


「その前に、めぇのデータをボクにも後でくださいね」


そんな会話があったことを、真音は知るよしも無い。






◆◇◆◇◆◇◆◇

でも、きっと数日後には見つかる。

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