3 「蜜歌、もういいですか?」 真音が寝入ってから少し経った頃、彩花は唐突に蜜歌に話し掛けた。 蜜歌はそれまで見ていた真音から視線を外し、笑顔で頷く。 「あ、うん。彩花ありがとう!」 「いいえ、学校でのめぇの写真と動画が頂けるのなら、いつでも喜んで」 「もう、彩花ったら」 雨丸はひざ枕の状態から少し起き上がり、向きを変えて彩花の腰に抱き着いた。 「それにしても、ひざ枕の写真が欲しいなら欲しいって、直接言えば良いじゃないですかー」 「だって真音撮らせてくれないもん。氷魚、ちゃんと撮れてる?」 それまで完全に忘れ去られていた氷魚は、蜜歌の言葉に頷くと先程まで撮っていた隠し撮り写真のデータを確認する。 そこには、蜜歌のひざ枕で眠る真音がしっかり撮られていた。 「めぇ、帰ろう?」 「うんっ」 「じゃあ、ボクも帰ろうかな」 「その前に、めぇのデータをボクにも後でくださいね」 そんな会話があったことを、真音は知るよしも無い。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ でも、きっと数日後には見つかる。 [*prev] | [next#] (←) |