真音の憂鬱な日々


家に帰ると、変態とトラブルの素がいた。


「あ、真音ーおかえりっ!」

「蜜歌……なんでこいつらがいる」

目の前には、お茶を啜りつつ煎餅をかじる雨丸とそれをニコニコしながら見守る彩花、そしてさらにその様子をニヤニヤ見つめる氷魚だ。

真音にとって、彼等はトラブルとトラウマと気苦労の塊に過ぎない。

「真音今日残業だったでしょ?だから今日は先に帰ってご飯作っておいてあげようと思って、スーパーに買い物に行ったらたまたま二人に会って、そしたら学校帰りだっていう氷魚に会ったの」


この際、何故三人ともお持ち帰りしたとか、学生の下校時間に何故二人は帰ってるとか、おまえも残業だろとか、結局作らずに話してただろとかのツッコミは置いておくとする。

何故なら、残業疲れでそんな気力は無いからだ。
もうさっさと布団に入って、寝てしまいたい。


「なら、ボクがひざ枕してあげようか?」
「は!?」


まるで心を読んだのではないかというタイミングで聞こえた台詞に、真音は目をかっ開いた。
何故なら、発信源は彩花だ。

彩花が真音にひざ枕など、天変地異の前触れでしかない。


「は?何故あなたが反応するんです。めぇにしかしませんよ、ボクは。なに考えてるんです」

「だめっ!彩花の膝も彩花も俺のだから!」


敵意を剥き出しにする二人に、誰が彩花の膝なんて狙うか、と心中で悪態をつく。

「一億積まれてもごめん被る」


「もう、真音ったら……ボクにしてほしいなら素直に言えばいいのに」
「蜜歌は黙ってろ」


既にスタンバイしている蜜歌に、真音はストレスと疲労がマックスだ。

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