「これはこっちの公式に当て嵌めて……」


一週間後、参観日の日が来てしまった。

クラスの生徒達は、授業が始まった瞬間もう今日は授業を諦めたほうが良いと覚悟していた。
その理由は、教室の後方で授業を見ている年若き青年−−彩花だ。


「それじゃあ、この問いを誰かに解いてもらおうかな。えーと……じゃあ王太君」

「え、はい」


立った瞬間、後ろから若干漂うオーラが雨丸に恥をかかせたら潰すと訴えて来た。
答えを間違ったら、確実に潰される。


(え、何これ……なんでこんなプレッシャー感じんの?)

生徒の成績は、少なからず教師の教え方に左右される。
なので、彩花は雨丸に恥をかかせたら潰すと訴え、雨丸は彩花の前で良い恰好をしようと、王太には何がなんでも正解させるつもりだ。


(似た者同士というか何と言うか……)


一応間違えはしないのだが、答えさせる気があるのならそんなプレッシャーはかけないでほしい。


「起立、礼!」

そして一応恙無く終了した授業だが、生徒たちは前後からかけられるプレッシャーにげんなり気味だ。

しかし、本当の気苦労はここからだった。

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