6 「彩花……ひどい」 朧の元にかがりが突撃している頃、雨丸は自宅で激しく落ち込んでいた。 王太の予想通り字体で彩花の書いたものだと気付いた雨丸は、自分以外に好きだとラブレターを送る彩花に若干絶望気味だ。 「ごめんね、めぇ。かがりが良い黒髪いないかって聞いて来て、ちょうど良いから処分……いや、ちょうど番長黒髪だったと思ったから」 途中で本音がちらりと出たが、幸い雨丸の耳には入ってない。 膝を抱える雨丸の頭を抱いて、彩花は必死に弁解する。 因みに、あの呪いの手紙は王太にラブレターを書かなければいけない憤りから生まれた、単なる八つ当たりだ。 「許して?」 「いや!」 ぷい、と顔を反らした雨丸に彩花までショックをうけた。 かわいらしい仕種に悶えながら、顔を反らされたショックにうちひしがれる彩花は器用だ。 「ごめんね、めぇ。愛してるよ」 「……もっと言ってくれなきゃ許さない」 「……っ」 ふて腐れた雨丸の言葉に、彩花は色々な意味で危険な状態だ。 雨丸の髪に顔を埋め、少しの間その感触を楽しんだあと耳元に口を寄せた。 「めぇが満足するなら、いくらでも……」 目一杯甘い声を出したが、言い過ぎて次の日喉を痛めたのは笑えなかった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 彩花様は基本雨丸に激甘。 かがりの特殊能力は出すかどうか迷ったのですが、今回は無しで。 [*prev] | [next#] (←) |