少しの間待っていると、少し離れたところに人影が見えた。
どうやら二人いるようで、片方はとてもはしゃいでるように見える。

「……ん?二人?」


そう疑問に思ったが、考える間もなく大きな声が耳にはいってきた。


「あー!ほんとにいた!」
「うわっ!」


「ちょっと落ち着きなよ」


王太の元にやって来た少女は、その長いツインテールを風に靡かせ王太にダイブする。
その勢いに負けて地面に頭をぶつけた王太だが、もう片方は王太を気にしたそぶりもなく少女を助け起こした。


「だってお兄ちゃん、黒髪よ黒髪−!彩花の言ってた通り!」

「わかったから落ち着いて……ほら、相手だって混乱してるだろ?」


突然の奇襲に声もでない王太だが、不意に聞こえて来た不穏な単語に耳を疑った。
聞き間違いでなければ、彩花と言っていた気がする。

「おまえら……あいつの知り合い?」


にこりと笑った顔が、何となく雨丸と彩花に似ていたので、とりあえずこの二人は同類なのだと悟った。

「悪何者高校のいさりです」

「かがりでーす!ねえお兄ちゃん、焼いていい?焼いていい?」

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