3 少しの間待っていると、少し離れたところに人影が見えた。 どうやら二人いるようで、片方はとてもはしゃいでるように見える。 「……ん?二人?」 そう疑問に思ったが、考える間もなく大きな声が耳にはいってきた。 「あー!ほんとにいた!」 「うわっ!」 「ちょっと落ち着きなよ」 王太の元にやって来た少女は、その長いツインテールを風に靡かせ王太にダイブする。 その勢いに負けて地面に頭をぶつけた王太だが、もう片方は王太を気にしたそぶりもなく少女を助け起こした。 「だってお兄ちゃん、黒髪よ黒髪−!彩花の言ってた通り!」 「わかったから落ち着いて……ほら、相手だって混乱してるだろ?」 突然の奇襲に声もでない王太だが、不意に聞こえて来た不穏な単語に耳を疑った。 聞き間違いでなければ、彩花と言っていた気がする。 「おまえら……あいつの知り合い?」 にこりと笑った顔が、何となく雨丸と彩花に似ていたので、とりあえずこの二人は同類なのだと悟った。 「悪何者高校のいさりです」 「かがりでーす!ねえお兄ちゃん、焼いていい?焼いていい?」 [*prev] | [next#] (←) |