「ちょっと見せて!!」


雨丸は王太から手紙を引ったくると、内容と文字を凝視する。

一体これはなんの罰ゲームかと思いつつ、王太はもう片方の手紙を手にとった。

「……これは苦情というか罵倒というか……」

墨を使って書かれたそれは、達筆さ加減も合間って謎の迫力を醸し出していた。
手紙に目を通した王太は、未だに手紙を凝視する雨丸に目を遣る。


「雨丸先せ……」
「……嘘だ」

「は?」


何事かと声をかけようと思ったが、涙目になった雨丸に本気で何事かと心配になる。
教え子がラブレターを貰うのが、そんなにいけないことなのか。

「王太君のばかっ!」

「えっ、オレ!?」


変態!と叫んで走り去る雨丸に、もう何がなんだかわからない。

理解不能なまま、王太は放課後を迎えてしまった。
こうなったら、せめて現状を理解しようと呼び出された校舎裏に向かうしかない。


「まったく……一体なんだって言うんだ」


からかう同級生を撒き、王太は無事一人で校舎裏へとたどり着いた。
どうやら呼び出した方はまだ来ていないらしく、校舎裏は至って静かだ。

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