Black Letter それは突然だった。 いつものように登校してみると、下駄箱には二通の手紙。 片方は梅の模様があしらわれた雅な封筒で、そこはかとなく梅の匂いがする。 もう片方は、溢れる殺意が惜しみ無く込められた手紙。 「……なに、この組み合わせ」 私立WS学園の番長、小枝王太はその二通を前にしばし固まった。 開くのも躊躇われるような殺人予告(そう見える)は後にし、梅の封筒の方を手にとる。 「えーと……?」 【王太君へ 貴方が好きです。放課後、校舎裏で待ってます】 中身を見てみると、それは正真正銘本物のラブレターだ。 放送禁止用語も無いので、氷魚から届いたものでもない。 しかも綺麗に整った字体から、相手は相当几帳面だと伺える。 「あれ?王太君、ラブレターですか?」 「さっ……雨丸先生!」 突然の声に振り向くと、雨丸が日誌を持って教室に向かうところだった。 突然のことに驚いてしまい、ラブレターらしきものと殺人予告(仮)が見られてしまった。 「……っ!それを何で王太君が!?」 「何でって……入ってたから?」 日誌を床に落とし、この世の終わりかのように悲壮感に満ち溢れた雨丸を見ていると、なんだかラブレターを持っているのが申し訳なくなる。 [*prev] | [next#] (←) |