制服を買いに行こう


「……は?」
「何これ」

季節は春、晴れて私立WS学園へ入学の決まった蜜歌と真音は、注文していた制服を受け取りに来ていた。
そこで出来上がった制服を見た二人は、思わずそれを二度見した。


「……何で値段が違うわけ?」


同じ学校、同じ性別、同じ体格にも関わらず、何故か二人の制服は値段が違うのだ。
不満げに声を出した蜜歌に、不機嫌さを隠さないまま店員を睨む真音。

店員は困ったように、会計しようとしたままの恰好で止まっている。

「変えろ」

「ですが、決まってますので……」

先ほどから不毛な言い争いをしている真音の横で、制服を見ていた蜜歌は値段が違う理由に気付いた。


「……これ、女子制服だ」
「はあぁ!?おいこら!蜜歌は男だ!」

見ると、確かに蜜歌の手には男子用の学ランではなく女子用のセーラーが鎮座している。
真音は文句を言おうとレジに向き直ったが、隣のレジから聞こえて来た声に思わず固まった。


「あれ、彩花の値段違う」
「本当だ……」


隣のレジにいたのは、自分達と同じようなやり取りをしている彩花と雨丸だった。
まさか同じ事になってはいないだろうと、真音は目を逸らした。

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