2 「こうするんです……着火!」 火力を最大にしたライターは、勢いよくエロラヴレターに引火し、それを灰に変えていく。 それを目の前の手紙の山に乗せたものだから、小さな焚火状態になっている。 「遠矢!何故学校にライターを持って来てるのだ!?」 「いえ、ちょうど今朝没収したものですから。しかし、よく燃えますね」 存外勢いよく燃えるゴミの山を尻目に、遠矢はライターを没収品箱に放り込んだ。 しかし、それでも遠矢の制服からライターは予想外で。 少しの間、狼の開いた目と口は塞がらなかった。 「……変態パワーか?」 「随分ねっとりしていて、しつこそうなパワーですこと」 燻り続けているそれを尻目に、遠矢はさっさとライターを所持していた生徒の名前を控え、狼の前に彼の鞄を置く。 「しかしあの雨丸とかいう奴の所にも届き始めたそうだ、遠矢も気をつけろよ」 「ご安心を、ボクは氷魚の趣味ではないので」 授業に向かう準備を終えた遠矢は、まだ少し時間があるのか、再び狼の隣に座る。 「あの変態の守備範囲は果てしなく広いぞ」 「生憎ですが、今は貴方(の世話)だけで十分ですので」 だから変態に構ってられない。と続けた遠矢だが、単語が抜けて愛の告白めいた言葉になってしまっていると気付くのは、それから十秒後。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ それもこれも、氷魚のせい 遠矢は意外と、墓穴を掘るタイプなのではないかと…… [*prev] | [next#] (←) |