「ねえ彩花、他は?」

好奇心を隠しもしない雨丸は、覚えたての知識が嬉しいのか彩花の唇にキスをする。


「ここが尊敬、こっちは懇願」
「へえー」

手の甲、掌に順に口づけをし、雨丸の顔を見遣る。

自身とは違い、ころころ変わる表情は見ていて飽きない。

「ね、他は?」

「あと二つ、かな」


あと二つ意味はあるのだが、これは清々しい朝に似つかわしくない意味だと、流石に苦笑した。
しかし雨丸にねだられては勝てるわけもなく。


「ここは、欲望」

腕に口づけをし、雨丸の首筋に顔を埋める。

「あとは?」


案の定若干赤くなった顔を見て、氷魚を褒めてやりたくなる。
何せ氷魚のおかげでこういう話題になったのだから。

「あとは全部、狂気のキス」


そう言った彩花に、全部愛情で十分だと、雨丸は笑った。






◆◇◆◇◆◇◆◇
君と僕には、愛情すら生温いけれど。


グ/リ/ル・パ/ル/ツ/ァーのキス考より。

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