3 「ねえ彩花、他は?」 好奇心を隠しもしない雨丸は、覚えたての知識が嬉しいのか彩花の唇にキスをする。 「ここが尊敬、こっちは懇願」 「へえー」 手の甲、掌に順に口づけをし、雨丸の顔を見遣る。 自身とは違い、ころころ変わる表情は見ていて飽きない。 「ね、他は?」 「あと二つ、かな」 あと二つ意味はあるのだが、これは清々しい朝に似つかわしくない意味だと、流石に苦笑した。 しかし雨丸にねだられては勝てるわけもなく。 「ここは、欲望」 腕に口づけをし、雨丸の首筋に顔を埋める。 「あとは?」 案の定若干赤くなった顔を見て、氷魚を褒めてやりたくなる。 何せ氷魚のおかげでこういう話題になったのだから。 「あとは全部、狂気のキス」 そう言った彩花に、全部愛情で十分だと、雨丸は笑った。 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 君と僕には、愛情すら生温いけれど。 グ/リ/ル・パ/ル/ツ/ァーのキス考より。 [*prev] | [next#] (←) |