4 「あのねえ……何の為に就職したの?」 「めぇと一緒にいる為です」 「彩花と一緒にいる為です」 見事にハモった二人の言い分に、朧はため息をついた。 授業妨害もいいとこなのだが、個人の指導力としては残しておきたい人材だ。 しかし、二人揃えたら完全に授業どころではない。 「じゃあ、どっちか辞めて?授業になんない」 「そんな!まさかオレを引き離して、彩花にあんなことやこんなことをするつもりじゃ……!」 危険物を見る目で彩花を朧から引き離そうとする雨丸だが、その思考自体が危険物だとは気付いていない。 「だっ……駄目ですからね!彩花はオレの!」 「めぇ……!」 頼むから目の前の二人をどこかにやってくれと、朧は頭を抱えた。 声にこそ出してはいないが、彩花も雨丸と同じようなことを目で訴えてくる。 「とは言ってもねえ……このままじゃ、二人とも辞めてもらうことになるよ?それなら片方が残って、片方は家で家事をやっていればいいじゃない」 名案だとばかりに提案してみるが、二人の表情は変わらない。 しかし、比較的冷静に判断ができるのか、二人は少しばかり考え込んでいた。 [*prev] | [next#] (←) |