「えーと、そしてこの答えが……」


あのあと、何故か彩花を抱き抱えたまま何事もなかったかのように雨丸は授業を再開させ始めた。
首筋に顔を埋め、甘えるように擦り寄る彩花を、雨丸は満面の笑みであちこち撫で回しながら黒板に板書をしている。

正直、うざったい。

「めぇ……めぇ……」

「彩花、くすぐったいよー」


頼むから普通に授業を受けさせてほしいのだが、もはや彼等に聞こえてすらいない。

「自習してるから、出てってくれねえ?」


いたたまれなさが最高潮に達し、王太は完全に死んだ目で教室の外を指差した。

クラス全員同じ気持ちなのか、反論する者は誰もいなかった。

「だってさ、彩花屋上いこう!」
「うん」


喜び勇んで屋上に向かう二人に、教員免許は一体どうやって取ったと聞きたくなる。

あまりの潔さから、これを狙っていたのではと疑ってしまった。
しかし、そんなことが出来るわけもなく、二人は仲良く教頭に呼び出された。

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