主夫になった訳 「これから此処で働かせていただくことになりました、沙砂雨丸と」 「彩花です」 私立WS学園、中等部。 本日、春でもないのに教員が二名赴任して来た。 どうやら双子らしいのだが、金色の瞳以外似ているパーツは殆ど無い。 「ふざけないで下さい!どうしてめぇと担当が違うんですか!」 そして、赴任して来た初日から彩花は教頭に怒鳴り散らしていた。 理由は簡単で、双子の兄である雨丸と担当クラスと教科が違ったからだ。 しかしそれは当たり前のことなのだが、彩花には納得出来なかったらしい。 「だって、一回の授業に二人も教師がつくのはおかしいじゃないか」 「は?何言ってんですか。僕の傍にめぇがいないのがおかしいんです」 教頭である朧の言うことも尤もなのだが、だからといってここで諦めてしまっては、雨丸とのラブラブスクールライフが台なしになってしまう。 このために教師になったといっても過言ではない彩花にとって、これは一大事だ。 「考えが古いんです!チームティーチングぐらいどこでもやってます!」 「だって人手が足りないから二人雇ったのに、それじゃ意味ないでしょ」 なおも食い下がる彩花だが、そろそろ朝礼の時間が終わってしまう。 しぶしぶ授業に向かう彩花を、雨丸は隣で励ましつつ授業に向かうように見えたが、手には教科書を持たず彩花の手に伸びた。 「めぇ……」 「ねえ彩花、このままサボっちゃおう?」 [*prev] | [next#] (←) |