2 「手紙?」 「そう、隣の悪何者高校の番長の氷魚って奴からだ」 若干聞いたことの有るような無いような名前に、雨丸は好奇心のまま手紙を開いた。 『王太君へ 君が好きです。君のことを考えるとピーがピーでピーピーピーピーピー』 雨丸は放送禁止用語ばかりの羅列で、既に危険物と化した手紙をそっと閉じた。 文章が成り立っているのが奇跡な手紙を山に戻しつつ、雨丸は王太の方を見遣る。 「エロラブレター……」 「……奴は間違いなく変態だ!」 山を見るのも悍ましいといった態度に、そうなるのも無理はないと思ってしまう。 「……で、雨丸先生に彼女の振りをしてほしいってわけ」 話の流れはわかったが、しかし雨丸のとる行動は一つだった、 「お断りします、彩花となら彼女の振りでもピーでもピーでもピーしても全然良いんですが……」 残念だ、といった様子で放送禁止用語を口走る雨丸に、王太は唖然とした。 まず、雨丸は氷魚のことを変態と言えないのではないだろうか。 「男なら拳で語り合うべきですよ!」 「その結果がこれなんだけど」 [*prev] | [next#] (←) |