私立WS学園に正式採用された雨丸は、今日も自分より体の弱い彩花の為に働いていた。

もともと子供は好きなのだが、色々あって彩花と暮らすようになってからというもの、彼の生活は彩花一色だ。


「雨丸先生ー」

授業も終わり思考が既に帰宅しかけていた雨丸に、突然後ろから学園の番長である王太が話しかけて来た。
王太は、両手にバーゲン帰りの奥様のように袋を大量に抱えており、体の半分が見えない。


「王太君、どうしました?」

雨丸は持っていた鞄をデスクに起き、困った様子の王太に近寄る。


「俺の女になってくれ!」

不思議なイベントの発生に、取り敢えず雨丸は今までいた職員室から逃亡を図った。

王太の袋で埋め尽くされた片腕を引っ張り、雨丸はそのまま近くの空き教室に引きずり込んだ。

「な……なんですかいきなり!俺には彩花が……っ」

「いや、正確には彼女の振りをしてほしいんだって」

耳が腐るほど聞いて来た台詞を遮り、王太は紙袋をひっくり返しながら話しを続けた。
紙袋からは、尋常じゃないほどの手紙が出て来ており、既に小さな山がいくつも出来ている。

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