誰しもが持っているであろう欲。

金、地位、名誉、女もしくは男…

だが俺は大半を手に入れてしまっているのが現状だ。
向上心はあるから、地位名誉に関してはまだまだ望める。金は余っている。働けば働くほど増えてゆくのだ。人類最古の商売の元締めをやってる限り金が尽きることはまずないだろう。
女?黙ってても寄ってくる。大半…いや8割以上は俺の金と地位が狙いだろう。ガキでも孕んじまえば…と思ってるんだろう。そんなショボい罠にはかからない。ガキが出来るようなコトは絶対にしない。抱くには抱くかそれだけだ。子種はくれてやらん。

残りの2割弱は本気らしいが生憎面倒くさい女は大嫌いだ。
「浮気しないで」
「仕事と私、どっちが大事なの?」
「今何してたの?どこ行ってたの?」
この手の類いの台詞を聞くだけでヘドが出る。何をどうしようと俺の勝手だ、女の下らん戯れ言に縛られるのは御免。流石の俺でもこんな女達は抱く気が起きない。

あえて欲しいと思うのは、愛。

幼い頃から誰かに深く愛された記憶がない。俺は妾の子だ。長男でありながら父には毛嫌いされ、母は父の気を引くのに必死な「女」だった。乳を与え育ててくれたのは女中…とは聞いていたが今は屋敷にいない。乳離れしてからはむさ苦しい極道の野郎共が世話をし、忍連中も懸命に育ててくれた。

愛は人から与えられるもの?
与えるもの?
自然に沸くもの?

親の愛を知らないと、自分、他人を愛せない…というわけではないだろうが俺はわからない。

自分すら愛でた事ないのかもしれない。いつ死んでもいいと思ってるくらい自暴自棄な事が多い。

「好き」「愛情」これらがまったく違うのは読んで字の如く。
好きの意味はよーく解っている。

俺はとにかく甘いものが好きだ。食い過ぎて腹壊し、厠に籠っても本望だ。
酒だって好きだ。弱いからすぐに酔ってちょっとでも飲みすぎれば、吐いて吐いて酷いし、二日酔いは三日目まで辛い。でも止められない。
タバコもだ。煙で肺腑が病に冒されても構いやしない。
もちろん女は大好きだ。男に生まれたからには女を抱かなきゃ始まらない。なんとも言えない匂いと柔らかい躯。揉みごたえのある豊満な乳(大きいのに限る)。吸い付くような唇に、脳髄も蕩けるような刺激をもたらす女陰(アソコ)。
女とヤリ過ぎて馬鹿になろうがなんだろうが、ぜんぜん構わないくらい最高だ。

だけどそれだけだ。それ以上はない。

いわゆる「恋人」「妻」がいる男が羨ましい。きっと愛し合ってるだろうから…部下にはたくさんいる。

女に疎いくせに案外肉食系なアイツ。
能天気で嫁の尻に敷かれてるアイツ。
深い絆というか思いやりに溢れているような気がする。

大人になれば自然と手に入ると思っていたのに。
欲しい。とてつもなく欲しい。金では手に入らない。欲しても手に入らない。

いずれは、愛で満たされてみたい。
急ぎはしない。いずれでいい。

こればかりは欲しても、そう簡単には手に入りそうにないからだ。







*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

これは恋愛してる?の前の話し。
私は両親から愛されてますが、愛しかたは下手…(笑)私の恋人になる人は相当包容力のある優しい男じゃなきゃ勤まりません。

愛し方っていうか、愛って難しいっす。うん。





prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -