Cの章


 ずっと、私は自分が抱えている疑問を解決したかった。

 いつも私は誰かの幸せを願って、その人の望むようにしても、最後はいつもみんな不幸にしてしまう。

 私はどうすればいいか分からなかった。

 でも、私は誰かを、みんなを幸せにしたかった。

 やっと、その答えが分かる。
 そのための異人転生企画だ。これで、あの5人は幸せになれるのだ。私も人の幸せを叶えられて幸せだ。
 あとは、この人の人生を頑張って、この人の身体を幸せにする。それだけが私の最後の宿命だ。


 翌朝、私は、松岡知奈が辞表を出した会社に出社した。周りには驚かれたが、まだ辞表は何かあった時のために受け取ってはもらえたが、受理されてはいなかった。

「ではこれは、破棄していいのだな。今日から松岡知奈は我社に復帰だ。しかし、休んだ2日間の分を取り戻してもらうためにしっかり働いてもらうぞ」

「はい」


 それから、仕事が始まった。松岡知奈の身体と記憶を使い、私は働いた。朝は日が登りきる前に出社し、夜は月が南の空を通る頃に退社した。休日も呼び出されて働いた。東京の街は朝よりも深夜の方が明るかった。

 松岡知奈本人の時よりも辛いとは感じてはいなかった。

 ただ、ああ、こうして人は病んでいくのだな。と思った。


 でも、私には悔いはない。私の残りの天命は、この人の人生を生き抜く。ただそれだけなのだから。