二人きりの楽園

僕は秋瀬くんに連れられて、秋瀬くんの家に来ていた。

普段は由乃が邪魔をしてくるからそんなことはできなかったけど、

いろいろあって、今日は秋瀬くんとずっと一緒にいられたのだ。

「雪輝くん、今日はずっと君と一緒にいられてよかったよ」

にこりと秋瀬くんが微笑む。

その言葉が嬉しくて僕も自然に笑顔になった。

「僕も秋瀬くんと一緒に遊べて楽しかったよ!・・・・・・もし良かったらまた一緒に遊園地、行きたいな・・・」

ちらりと秋瀬くんの顔を窺う。

秋瀬くんは僕の言葉に少し驚いたようだったけど、すぐに頷いてくれた。

「雪輝くんがそんなことを言ってくれるなんて・・・とても嬉しいよ」

そう言って、秋瀬くんは、ゆっくりと僕に近づいてくる。

な、何をする気なんだろう?

混乱している間に、秋瀬くんが僕の肩に手を置く。

「ひゃっ・・・!?」

くすぐったくて思わず声が出る。

「そろそろお風呂に入ろうか」

そう言って、秋瀬くんが片手を差し出した。

び、びっくりした・・・。

何か変なことをされるのかと思った・・・・・・。

いや、そもそも秋瀬くんがそんなことするわけないか。

僕は秋瀬くんの手を取って、イスから立ち上がる。

「さあ、一緒に行こうか」

「ええっ!?」

ぎょっとして、秋瀬くんの手を握ったまま固まる。

「ま、まさか一緒に入る気じゃ・・・」

おそるおそる秋瀬くんの顔を見上げると、

秋瀬くんはにっこり満面の笑みで頷いた。

や、やっぱり今日の秋瀬くんは変だよー!!

朝から異常に高いテンションだったし・・・・・・。

秋瀬くんから遠ざかろうとしたけど、秋瀬くんは僕の手をぎゅっと握ったまま離さない。

「で、でもっ。は、恥ずかしい、し・・・・・・」

びくびくと振るえながら言う。

「ふるえているね。かわいいじゃない。でも心配ないよ・・・お風呂では何もしないから」

お風呂では何もしないって・・・出たら何をする気なんだよ!?

僕のそんな気持ちも秋瀬くんにはどこ吹く風だった。

半ば強制的に服を脱がされ、浴室に入ると

秋瀬くんの比較的華奢なその身体のどこにそんな力があるのかというくらいに強い力でイスに座らされた。

「い、痛いよ・・・秋瀬くん」

「ああ、ごめんごめん。強くしすぎちゃったみたいだね」

そう言って、秋瀬くんが僕を抑えつける力を緩める。

すかさず逃げようともがいたけれど、僕の力では逃げ出せなかった。

・・・だ、だめじゃん!逃げられないよ!!

はあ、とため息をついて力を抜く。

もういいや。

とりあえずお風呂では何もしないって言ってくれたし・・・。

僕が力を抜いたことに気づいて、秋瀬くんが力を緩めた。

もう、僕が逃げ出せるほどだ。

「秋瀬、くん・・・?」

「・・・・・・雪輝くん、ごめんね。雪輝くんとずっと一緒にいられて嬉しかったんだ」

思わず秋瀬くんの顔を見上げる。

その瞳はかすかにだけど、潤んでいた。

「僕は我妻さんの存在に焦っていたのかもしれない。

君とこうしていられるのも今日くらいだろうからね。我妻さんに邪魔されない日が

来るのがいつかなんてわからない。雪輝くんと一緒に友達らしいことを

今日中に全てしておきたかっただけなんだ」

友達・・・・・・。

こんな時なのに、そんな言葉を嬉しく感じるのは

僕が流されやすいからなのかな?

一拍、間を置いてから僕は口を開いた。

「わかったよ・・・・・・今日は秋瀬くんとずっと一緒にいられて僕も嬉しかったよ」

僕がそう言うと、ぎゅっと後ろから抱きしめられた。

「・・・っ!?あ、秋瀬くん?」

「うれしいよ・・・・・・雪輝くん、体を洗わせてほしいんだけどいいかな?」

え、と言葉が喉に詰まる。

それは友達とはちょっと違うような・・・。

いや、でもそれは僕が友達というものがよく分かっていないからかもしれない。

今まで友達がいなかったからわからなかったけど、親密な関係になればこういうことをする機会があるのかも。

いろいろな考えが頭を巡る。

しばらく考えてやっとのことで僕は小さく呟いた。

「・・・・・・ちょっとだけなら、ね」

「ありがとう、どこか痒いところはある?」

質問しながら秋瀬くんが自分の手にローションを垂らす。

・・・ってちょっと待った!

「あ、秋瀬くん!な、何をしてるのかなっ・・・」

ははは、とわざと明るく笑う。

だけど秋瀬くんは無言でにっこりと笑って僕の言葉をスルーした。

「ど、どこ触って・・・っ・・・や、やめ・・・!」

最初は触るだけだったのに、秋瀬くんはつねったりこねくりまわしたりして好き放題にやり始めた。

触られる度に、声が我慢できなくて今まで出したことのないような声が出る。

恥ずかしさで堪らなくなるけど、そのことを考えてる余裕なんかない。

「雪輝くん・・・可愛いよ」

はあ・・・と秋瀬くんの吐息が僕の首筋を撫でる。

それにも思わずビクリと反応してしまって、顔が真っ赤になった。

「洗うだけって・・・っ・・・お風呂では何もしないっていっ・・・言ってたのに!」

はぁはぁ、と息を荒げながらやっとのことで声を絞り出す。

白い頬を朱に染めた秋瀬くんが、その言葉を聞いてぴたりと手を止める。

「やっとやめてくれた・・・って、ちょっと何してるの秋瀬くん!?」

手を止めていたかと思った秋瀬くんが、今度は手をすーっと下にすべらせていったのだ。

「秋瀬くん!だ、駄目・・・」

「ごめんね、もう我慢できないんだ」

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