[君]が消えたいと思うような世界なら
世界ごと壊れてしまえばいいと思っていた。
叶わぬ思いははかなく夢に消えて
願っていたことすら思い出せない今。
[君]の居た場所には穴が空き
私は広すぎるベッドをただ疑問に思っていた。
カーテンの割れ目から光が差し込み
私の隣に熱を残す。
光の影と背を合わせて
感じたぬくもりが何故か懐かしい。
振り向いたそこに見える滲んだ人影
それは朝焼けが私に見せた
涙のmirage
足りないものを補う力はこの世界はもっていなくて
独りになったことがわかっても無くしたものがわからなければ
嘆く理由はそこにはないの。
まばゆい光を宿していたはずのその場所には
鈍い残り火だけがくすぶって
記憶は消えても身体が覚えている
[君]という存在
悲しくないのに涙が溢れるよ。
[君]は確かにそこにいて
いないことなんてありえないはずだったのに
ああ
[君]が欠けた世界は今日も
平然と朝を迎えた。
fin.
一年分の応援全てに感謝。