「夏祭りまで後三日ー!!」

「小平太五月蝿いぞ。」

「仙蔵は堅いなぁ。いいじゃないかー!!」

夏祭りまで後三日を迎えた大川学園の寮のラウンジで、高校三年である俺達は最後の夏休みを過ごすべく計画を立てていた。

『夏祭りを最大限に楽しむ為にいつもみたいに計画を立てるぞー!!』

「蓮…あみだくじを作っておいた。」

「さっすが長次!!」


あみだくじには

・参謀
・食べ物担当
・遊び担当
・最後の荷物持ち担当
・女装コスプレ担当

と書いてあった。

「オイ長次!!!!女装担当ってなんだよ!!去年までなかっただろーが!!」

「留三郎…私の要望で入れるように頼んだのだ。」

「仙蔵テメェ…!!」

「留三郎落ち着い…ブファ!!」

「伊作!!すまん!!」

仙蔵を殴ろうとした留三郎のパンチが止めようとした伊作にクリーンヒット。

『期待を裏切らない不運だなぁ。』

ねーっと小平太と顔を見合わせる。


「ただでさえ女っ気のない私達だ。夏祭りなのに男だらけで行くのもむさ苦しいだろう。」

「バカタレィ!!だったらお前が女装をしろ!!」

「断る。つまらんだろう。」

「「仙蔵ォォォォ!!!!!!」」

『留三郎と文次郎の息がピッタリ…』

「マズイ事になっちゃったよー!!小平太どうしよう?」

「私に聞くな!!」

俺と伊作と小平太でどうしようか揉めていると…突如笑い声が聞こえてきた。


「うへへへへ」


「「『長次が怒ってるぅぅぅ!!!』」」

「さっきからあみだくじを無視しちゃったから…。」


それからは事態は急速に収まった。
長次がどうしたのかは俺の口からはとてもじゃないが言えない。
あれは怖かった!!!!

長次曰く…何回もあみだくじをやろうと提案したらしいが、絶賛喧嘩中の三人とパニックな俺達には全く届いちゃいなかったって事でプッツンしたとか。


三郎直伝の究極奥義

☆土☆下☆座☆

で乗り切ったぞ!!


「作兵衛にゴミを見るような目付きで見られたぁぁ!!」

「僕なんか左近に汚物を見るような目で…数馬からは憐れみの視線だし…!!」

「まぁ金吾に見られたけどいいか!!細かい事は気にするなー!!」

「三木ヱ門と左吉に蔑まされるような顔をされた…。」

「喜八郎に見られた…一生の不覚!!」

上から、留三郎・伊作・小平太・文次郎・仙蔵だ。
情けないよなー。


『後輩に土下座見られたぐらいで落ち込むなよ。俺は庄左ヱ門と彦四郎に見られたけど平気だぜ?』

「寧ろあの二人…視線に入れてなかったような…」

『文ちゃん五月蝿い。』

人が気にしないようにしてた事を言うなよなー。



結局あみだくじの結果は

・参謀→仙蔵
・食べ物担当→長次
・遊び担当→留三郎
・最後の荷物持ち担当→文次郎
・女装担当→俺

となった。

ちなみに毎年荷物持ちは伊作だったが、今回ばかりは不運ではなかったようだ。

「ぬうぉぉぉ!!!!!」

「文ちゃん…柱に頭ぶつけてる。」

「今年は文次郎に存分に荷物を持たせてやらねばな。」

「文次郎のヤローにへばるまで持たせるぞー!!」

「…文次郎なら…大丈夫だろう…」

「やったぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!ようやく荷物持ちから外れた!!!!今年は皆の戦利品を持たなくていいんだ!!!!!」

『嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…女装とかマジありえねぇ。』


なんで俺が女装なんだ…こんな所で苦労人を発揮したくないやい!!

あの時端っこを選んだ俺が憎い!!


「潔く女装をするんだな。当日の浴衣やヘアメイクはタカ丸に頼んであるから安心しろ。」

「さっすが仙蔵だな!!私は蓮の女装が楽しみだぞ。ギャルゲのキャラみたいに頼む。」

笑顔で言うな小平太…。
やっぱり浴衣なのか…


「夏祭りといえば女の子は浴衣だもんね。僕も楽しみにしているよ☆僕ら誰一人としてリア充いないからさ。」


いや…女装してる男と歩いて楽しいのかよ…。
まぁ、今の世の中男の娘とか女装男子流行ってますけど!
見てるのが萌える訳であって自分がやると萌えないのだよ。
あぁ…いい見世物になるんだろうな…。
チクショー!!!!!

こうなったら完璧に女装してやる!!!!!
皆にぎゃふんと言わせてやるんだ…。


こうして俺達の夏祭りが幕を開けたのだった。

悔しいから、女の子の浴衣がたくさん出てくる漫画とアニメ見てこよ




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