クルマイの人格形成に、ゲス也が関わる話 | ナノ

※クルマイの人格形成に、ゲス也が関わる話
※モブ臨微エロもあるよ!(ポロリみたい)












(かわいそうね、あなた)









臨兄はこの頃、お母さんとお父さんたちに内緒でこっそりと何かを飼っている。
家の一番奥にある臨兄の部屋には家族でさえ滅多に立ち寄らないけれど。
臨兄の部屋の少し手前にある私たちの部屋に入る時、聞こえ難いけど臨兄が何かに語りかけてる声が微かに聞こえてくる事がある。
廊下を移動する一瞬だけの出来事だけど、聞こえる臨兄の声は妙に甘ったるくて、私とクル姉はその臨兄の声が聞こえる度にげぇ、とお互いに舌を見せ合うのだ。

たまに女のように甲高い声や、低く掠れた老人みたいな声が聞こえるけど。
これは臨兄のペットの声だろうと予測を立てて、私たちは気にしないようにしていた。






臨兄との思い出は、あまりない。
兄は私たちの面倒は最低限見てくれても、あまり私たちに興味は持ってくれなかった。


いつか、
お母さんもお父さんも朝早くから家を出ていた日があった。
私たちはその日見事に寝坊して、朝ごはんを食べ逃してしまったのだ。
幼い私たちはわんわんと大声で泣くことしか出来なくて、二階から降りてきた臨兄は面倒そうな顔を隠しもせずに私たちに言った。

『うるさいなー・・・泣いてたってしょうがないだろ』

悲しくて泣き止むことが出来ない私たちの前で、あっという間に臨兄は朝ごはんを作ってくれた。

フレンチトースト

手先が器用で何でもこなせる臨兄だけど、何故だか自分で料理するのは大嫌いだった。
そんな彼が一回だけ私たちの為だけに作ってくれた料理。
朝ごはんを食べる事が出来たのに、美味しいフレンチトーストを食べている間ずっと涙は止まらなくて。おいしい、おいしいね。とクル姉と頷きあいながら食べるのを、臨兄は携帯を弄りながら横目で見てきて。でもその頬が少し赤くなっていたから照れてる事が分かって、すごく嬉しかった。

素直じゃない兄が好きだった。




高校に入って変わってしまった臨兄。でも、少しずつだけど中学の頃から変化はしていた。


ナイフを持ち歩くようになったし、傷を作って帰ってくるし。
お母さんに買ってもらった携帯を手放さなくなったし、一度見たアドレス帳には見たこともない名前のピザ屋とかのお店が何十件も入っていた。(かけてみたらヤクザが出て、それから私たちは兄に携帯を触らせてもらえない。)


ねぇ、何をしているの臨兄?
皆でナイショで何をしているの。


良い兄、とは決して言い難い臨兄だけど。
この頃の臨兄は、変わり過ぎちゃってってなんだか気持ち悪い。
まるで、







知らない人みたいだ。


















クルリとマイルの足音が二人の部屋へと消えるのを聞き届けて、俺の上で硬直して動きを止めている彼にそっと声をかける。

「もう、あいつらが今から部屋を出ることもないと思うからさ。思いっきり動いても大丈夫だよ」

誰もいないと思っていた家の中から、小さい女の子の声が聞こえて驚いたらしい。
またこっちの方に来るかもしれないという恐怖から、戸惑って中々動こうとしない彼に焦れて。
俺は自分から繋がった腰を蠢かせ始める。

ウッと男が低く呻くのに気分が良くなり、俺は彼の手を取り指の付け根から指先までねっとりと舐め上げて、彼を大胆に誘惑する。


「・・・ッん、ねぇもう・・・がまんできなぁい」


安い女のテンプレみたいな台詞でも、男は簡単に興奮して。
身体の奥で受け止める彼の一部から溢れる先走りが、量を増す。

クチュ、グチュと少しずつ激しさを増す濡れた水音に、俺の口角が吊り上る。

「アッ・・・上手。・・・っん、あぁ!・・・きもちいいっよ!」

荒い息を吐く男の唇に、ご褒美にキスを贈ってやる。
調子に乗って舌を差し入れてきた男だが、今回ばかりは許してやるとばかりに不器用に震わすだけの舌先を吸い上げて、逆にこちらから舌を絡めとり咥内を刺激してやる。
受け入れる立場である俺よりも、よっぽど気持ちよさそうに閉じた瞼を震わす男を細めた目で嘲笑い。自由な手足を男の背中に絡めつかせ、男に愛情を認識させる。


「・・・あぁあっ、すき、だいすき・・・すきだよぉっ」


期待した眼差しを、慈しみを込めた眼差しで受け止めてやり。
勢いが強まる動きを、落ち着いた姿勢で受け流す。


すき、だよ。
君のそんな人間らしいトコ。


愛情に飢えて、でも求める方法が分からなくて。
だから手を差し伸べてくれた存在に、簡単に心を許す。
不信に陥って、でも誰かを信じていたくて。
だから何もかも許す存在に、簡単に心を揺れ動かされる。


誤解していてもいいよ、俺は君の人間らしい所を一番愛しているのだから。



「・・・・・・んぁっ!」



熱い飛沫が最奥で弾けるのを感じながら、本能を剥き出す男の最奥に届くよう無言で語りかける。

君はどの誰よりも今、一番人間らしいよ、と。
だから誰よりも今君を、一番愛してあげる、と。



「あっは、すき。あいしてるっ」





















別に

嘘は、ついちゃいないだろ?


















>>



続きます



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -