この世のなかに首無しのライダーがいるならば他にも理解不能な奇怪な生命体がいてもおかしくはない、……そう提唱したのは自分だったか。
確かにその仮説は正しかったらしい、罪歌に殺人鬼に不死身などこの世には彼女以外にもおかしなやつはたくさんいた。俺が愛する人間、ではない生きもの。
そして今、目の前にいる生命体もその代表としてあげられるようなものだ。
「近寄んな、化け物っ!!!!」
目の前に迫ってくる気持ちの悪いうねうねしたものにナイフを振りかざし威嚇する。
ここは池袋であってRPGの世界ではない、現実だ。
まだまだ世界に様々な化け物がいるだろうとは考えていたが、こんなもの期待なんてしていなかった。
「ちっ、くしょう…!」
じりじりと後ずさりながら、俺は逃走するため体を後ろへ振り返らせた。
しかし、いつの間にかその化け物の触手に片腕を絡め取られてしまっていて、 逃げ出すどころか捕らえられてしまい、喉の奥が変に引きつったのを感じた。
「や、やめろ…!」
振りほどこうともがいてみたが、見た目とは違い馬鹿力で、振りほどけない。
舌打ちをしながら捕えられていない片腕の袖口からナイフを取り出そうとしても、その腕も瞬時に絡め取られた。
「う、わっ…!」
両腕を拘束した触手が思い切り引っ張ってきてその場に叩きつけられる。背骨がコンクリートに当たる痛みに耐える暇もなく、足首に気持ちの悪いものが絡み付いて。
ぬるぬるとしたそれはズボンの裾から入り込んできた。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!
「嫌だ、…やめろ!」
ゆっくりと這うように這い上がってきて、それは太ももにまで到達した。
最早自分だけではどうにもなりそうにもない。
助けを呼ぼうと大きく口を開けた。
「誰か、助け…かは…ぅっ!!」
途端、ずるりと大きく開けた口の中へと触手が滑り込む。
どろり、と口の中に広がる甘味と酸味の交じった不愉快な味に眩暈がした。
触手から滴る粘液はどんどんと口の中に溢れていって、止まらない。
開きっぱなしの口から出ていき、どろどろと顎を伝って、甘い液体が滴り落ちていく。
ファンダジーの世界でもこういうものは体に害だと決まっているので、絶対に飲み込むものかと、必死に舌で液体を押しかえす。
だが、それもそろそろ限界だった。
「う、うぇ…ふぐぅっ!」
息が続かなくなり、咄嗟に液体を飲み込んでしまって、はっとする。
粘液が胃へ落ちていくのを感じながら、はっきりと保っていた意識が朦朧としてくる。
抵抗していたはずの体もいつの間にか弛緩しきってしまい、がくりと力が抜けた。
手からナイフが落ち、床に倒れ込みそうになるが、触手があちらこちらから体を支えているため、倒れることは免れる。
「ふあっ…ぁ………」
突如耳たぶをくちゅくちゅと吸われて、背筋がぞくりとした。
あまりにも強い快感が走り、戸惑う。即効性にも程があるだろう。
身を捩ってもしつこくねたぶってくる触手にぞっとする。
感じたくないのに感じてしまっていることが屈辱的で、耐えていたのにとうとう涙が滲んだ。
いくら力を入れようとも、もがけばもがくほど、獲物の抵抗を楽しむかのように、触手の動きは大胆になってくる。
そしてついに局所へと触手の先端が触れてくる。
「嘘、…!?いや、や!!」
信じられない。
触手が股間に触れてきたことも、その股間が有り得ない程張り詰めていたことも。
にゅる、とズボンから器用に取り出したペニスにまとわりつきながら、上下に扱かれれば腰が震える。
じんわりとまだ足に引っ掛かったままのズボンが濡れてシミを作るのが、恥ずかしくてたまらなかった。
「や、だ…!ひ、いいぃいん!!」
突然、触手の先端から生えてきた細い何かが、ペニスの先、尿道口をちろちろと舐めるように弄繰り回し始める。
そのこそばゆく、しかし性感を大胆に煽ってくる刺激にうっすら目を開いた途端、とんでもない快楽が上下両方から突き抜ける。
見るのは怖い。
しかし、良からぬ好奇心が頭を擡げて、そろりと視線を下へと向ける。
「や、…あああぁ!」
ちゅ、じゅると卑猥な音を立てて、胸の二つの突起とペニスに触手が大きく口を開けて吸い付いていた。
「あ…やめ、ろぉ!」
あまりに悲惨な光景に、俺は悲鳴じみた叫び声をあげた。
それは震えてしまって大きな声にはならなかった、だが、叫ばずにいられなかった。
「やだあああ、ひっふぅうっ……あっあっあ!!」
上も下も触手が貪りついているので、その口内がどうなっているのかは傍目には分からない。
ただ襲いくる快感から察するに、先端から生やしていた細い繊毛のような触手を使い、俺の内部へと入り込もうとしているのが分かった。
「やらあぁぁ!あんあっあっああ、…ひぐうぅうううう…っ…!!!!」
にゅぷにゅぷと乳首やペニスの中まで犯されて、俺は体をしならせる。
ごりごりと内部から擦られる、感じたことのない激しい快楽に、気がおかしくなる。
ぼろぼろと溢れて止まらない、生理的な涙と、飲み下しきれない唾液、それから触手から絶え間なくぶっかけられる粘液で、俺の顔はぐちゃぐちゃだ。
「…も、イク…!イかせて…!さきっぽからびゅーっびゅーって出したいぃいいい!!!」
絶頂がじわじわとこみ上げる。
しかし、尿道をふさがれているため精液を吐き出すことは出来ない。
それでも高まる体に怖くなって、歯がカチカチと鳴った。
浅ましく触手におねだり出来るくらい、この時には脳みそが溶け切っていて、それが間違ったことだとしてもどうでも良かった。
ただイキたくて仕方なく、尿道を塞いだままの触手を恨めしく思った。
「やめて、もうイキたいの…!意地悪しないれよぉお…!!あっあん!イクぅうう……!!」
気付けば精液を出さずにオーガズムへと達してしまっていて、もう普通の快感では満足できないのだと思うと、涙が止まらなかった。
「ひ、ひっく…!も、壊れる…精液出した、いぃ!ふっふぅっ…」
いやいやと頭を振り乱して悶えれば、やっと細い触手がちゅぽんっと音を立てながら引き抜かれた。
射精が出来るという悦びだけに取り憑かれた俺は、うっすらと笑みさえ浮かべ、再び口元に寄せられた触手に、今度は自ら舌を寄せ、愛撫を施す。
早くイきたい、出したい
そんな俺の願いを感じ取ってくれたのだろう。
大きく口を開け直した触手は、俺のペニスを銜え込み、バキュームフェラの要領で、強く吸いながら上下に擦りあげる。
先ほどオーガズムに達したばかりの体はすでに限界で。
「で、る…!いや、らめええぇえ!」
びくん、と腰が跳ね上がり精液が尿道をせりあがってそのまま吐き出す。
その精液を触手が体内に取り込むかのように吸い上げている。
それを眺めながら、俺はまだ体がうずうずとして、何かが足りないことに気付く。
いつの間にか解放されていた腕を片方、そろりと後ろに回し、はくはくと開閉する下口を二本の指で押し広げながら誘う。
これで体のうずうずからは解放される、と信じながら。
「あん、ねぇ…こっちにソレ………ちょーだいっ」
触手臨わっしょい
もう戻れない感があるのは私の方だよ臨也くん……
←