キミのおこした奇跡side S


≫Clap ≫Top

動き出す物語


初めて知った事実と小さなしこり


「「「2−B」」」


学校に着いてクラス発表を見たら、3人とも同じ発言。
と言うことは、


「同じクラス!」
「あおいよろしくね!」
「うん!よろしく!工藤くんもね!」
「…」
「なに?」
「…学校でもオメーの面倒みなきゃならねぇのかと思ったら一瞬で目の前が暗くなった…」


知らず知らずにため息が出た。
どんな1年になんだよ…。


「ま、まぁまぁ!そんなこと言わないで!ほら、園子も一緒だよ!」
「ほんとだ!嬉しい!」
「うん!今年は修学旅行もあるから同じクラスでほんとに嬉しい!」


修学旅行、か…。
確か沖縄だったな。
沖縄かぁ…。
修学旅行だし、無難に美ら海水族館とかか?
ダイビングしてぇんだけど無理だろーなぁ…。


「このクラスでさ1番可愛いって思う子誰!?」


これはもうクラス替え後の恒例。
放課後ヤローばっか集まって女子の品定め。
って、ことはきっと俺たちも女子から品定めされてんだろうなぁって。
コイツらわかってんのかな。


「そりゃやっぱ、毛利さんじゃね?」


蘭はほんと人気がある。
顔は良い、頭は良い、スタイルも良いし、少し気強ぇけど性格も良いで申し分ねーしそりゃそうだろうなぁと思う。


「だよなー!やっぱダントツで毛利さん!鈴木も喋んなきゃなー!」
「アイツから喋りを取ったら何も残んねーだろ」
「いやいや、鈴木財閥ご令嬢の名が残るっ!!」


オメーそれ園子に失礼だそ…。


「あー、でも俺芳賀さんけっこー好み!」


は!?
そんな物好きいんのかよ!?


「悪いことは言わねぇ、アイツはやめとけ」
「そーだよなぁ!あおいちゃんは工藤くんのだもんなぁ!」
「バーロォそんなんじゃねーって何度言ったらわかんだよ」
「えー、ほんとかぁ?毛利さん以上にすっげぇ仲いーじゃねぇか!」
「蘭と同じで、他の女に比べたら話やすいからだ」


ほんとこの話題もいい加減飽きてきた。
どいつもこいつも少し仲が良いと=彼女にしたがる。
そんなんじゃねーっての!


「1年の時から言ってたけど、お前ほんとに芳賀さんとつきあってねぇの?」
「だから何度も言わせんじゃねぇよ!つきあってなんかいねぇって言ってんだろ!たまたま家が近所でよく話すってだけだって何度も言ってんじゃねぇか」
「いやお前、よく話すって域越えてんだろ…」
「なんか文句あんのかよ?」
「いいやー、別にぃ?」
「…じゃあさー工藤、聞いていいか?」
「あん?」
「お前は結局どっちが好きなの?」
「…はあ?」
「はあ?じゃねーよ!毛利さんと芳賀さん!ぶっちゃけどっちが好きなんだよ?」
「どっちもそういう目で見たことねーし」
「んー…、じゃあどっちが好み?」
「このみぃ?」
「そう!彼女にするならどっちがいいんだよ?」
「んなの悩むまでもねぇ、蘭だろ」


誰が好き好んであのバカ選ぶかよ。
頭も容姿も性格も良くて、何よりメシがうめぇ。
考えるまでもなく蘭を選ぶだろーが。


「…じゃあ、さ」
「あん?」
「俺マジで狙っていい?芳賀さん」
「……………は?」


一瞬、何聞かれたのかわからなかった。


「お前の彼女でもないし、興味もないなら、俺狙っていい?」
「は!?お前マジで言ってんの!?」
「…おー。俺ちっちゃい子好きだし。芳賀さん可愛いしおもしれぇし言うことねーじゃん」
「……いや、オメー冷静になれ。アイツはやめとけ」
「だからなんで工藤にそんなこと言われなきゃなんねーんだよ。やめるかどうかは俺が決めるっての!」


予想外、ってい言ったら失礼か…。
いやでも予想外って言葉以外に見つからない。
まさかこんな展開になるなんて。
確かに1年の時から「ちっちゃくて可愛い」とか、とぼけたことぬかすヤツいたけど…。
は!?なにアイツもてんの!?
え、マジで!?
そんなこと欠片も考えたことがなかった俺は、胸になんとも言えない感情が渦巻いていた。


「なんだよ」
「え?」
「この間からやたら俺の顔ジロジロ見てんだろ?なんかあんのか?」
「え?あ、ううん、別に…」


あの日の放課後、実はあおいがモテるのかもしれねーって知った時からコイツを見てる。
…けど、さっぱり俺にはわかんねー。
ただ俺が見てる以上にコイツが俺を観察してるような気がしてる。
…なんかあんのか?


「そーいや、園子がオメーの身長がどーだとか叫んでたぞ?」
「ち、縮んでないよっ!」
「…誰も、んなこと言ってねぇだろ。…いくつだったんだよ?」
「…人に身長聞く前に工藤くんはどうだったの!?」
「俺は158.6!前にオメーと計った時より3.4センチの成長!」
「…良かったですねー」
「で?オメーは?」
「………1.2センチ」
「なんだ1センチ伸びたのかよ!良かったじゃねーか」
「…いえ」
「あん?」
「…縮みました…」
「…」
「…」
「…まぁ…、身長だけが全てじゃねぇし…」


コイツきっと一生150の壁を越えることねぇだろうな…。


−俺ちっちゃい子好きだし−


…そういう物好きもいるしいいのかもしれねぇけど。


「あおい、新一、おはよう!」
「おー」
「おはよう」


最近は1人早く行くのをやめた。
っていうか、あおいと噂になってからそこまで他の女共が近寄ってくることもなかったし。
今さら一緒に登校しようが何しようが、関係ねぇ気がしたから。
それに一緒に行ったら行ったで、それなりに話すこともあるしな。
蘭ともあおいとも。


「そう言えば今週末だよね!」


蘭が少し身を乗り出して俺の反対隣にいるあおいに話しかけた。


「あおいの練習試合!」


そういや赤丸チェックの日まであと3日、か。


「私も部活があるからずっと応援してるわけにはいかないけど、休憩時間に見に行くね!」
「い、いいよ!そんな応援するようなことじゃないし」
「そんなことないよ!私、試合の時あおいと園子の応援すごく嬉しかったもん!だから時間できたら行くから!新一も行くでしょ?」
「え!?工藤くんはほんとに来なくていいよ!」
「的に届かなかったら指差して笑ってやるよ」
「…来ないでください」
「笑うわけないでしょ!もう新一もそういうこと言うの止めなって!」
「へぃへぃ」


そう言いながらチラッとあおいを見ると、少し俯いていた。


「なんだよ、オメー今から緊張してんのか?」
「え!?べ、別にそんなんじゃっ」
「弓道場で転んで鼻血でも出さねぇ限り指さして笑うの堪えてやっから安心しろ」
「転ばないよっ!失礼だなっ!!」
「へぇー、じゃまぁ後は興奮し過ぎて鼻血出さないよう頑張ることだな」
「興奮して鼻血も出さないしっ!工藤くんじゃあるまいしっ!」
「…俺がいつ興奮して鼻血出したか教えてくれねーか?」
「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい」
「バカ言ってねぇで、当日までちゃんと練習しろよ!…そしたら絶対大丈夫だから」
「…ひゃい」


あれだけ気合入れてたんだ。
絶対大丈夫。
もっと自分を信じろ。
と、までは言わねぇけどな。


「園子もテニス部が練習試合あるからダメって言ってたけど、新一と2人で部活抜けて絶対見に行くからね!」


今からすでに緊張の面持ちのあおいを後に、弓道部練習試合は3日後。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -