キミのおこした奇跡side S


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新学期


big & long


新学期早々、ニヤッニヤしてるクラスメートに囲まれ授業が始まる。
はっきり言ってキモい集団だ。


「らーん!園子ー!」


その集団を作った元凶が来た。
つーかオメークラス違うんだから来んなよなぁ。
またニヤッニヤさせるだけじゃねーか!
園子の声がバカでかいからこれだけ距離あっても嫌でも聞こえる。
ソフトクリームくらい1人で食いに行け。


「でもせっかくだから工藤くんに連れてってもらいなさいよっ!!」


こっちに話ふるんじゃねーよ!
あの機関銃めっ!!
ソフトクリームなんか興味ねーし!


「俺は行かねぇ」
「ほら、行かないって」
「お前行けよ!せっかく誘ってんのに!!」
「はあ?今日は部活ねぇからオメーらと」
「その約束はたった今無くなった!」
「はあっ!?」
「てことで芳賀さん工藤に連れてってもらいなよ!」


ふっざけんなっ!!


「だから俺は行かねぇって」
「お前なー!自分ち連れ込んで無理矢理泊まらせたくらい仲の良い彼女が誘ってんだろ!?行ってやれよ!」
「…なんで泊まったこと知ってるの?」
「オメーがくっだらねぇことベラベラ喋ったからだろーがっ!!」
「え!?私っ!?」
「俺さっき鈴木さんから聞いたし!」


あの機関銃っ!!
ギロッと発信源を見ると、バカ面した園子が親指立てて笑ってやがった。
…ニャロォ、覚えてろよっ!


「とにかくっ!俺は行かねぇからなっ!ソフトクリームなんて甘いの食いたくねぇしっ!」
「あ、大丈夫。ここコーヒー味やワサビ味あるって」
「そーいう問題じゃねーだろっ!!」


なんでそういう返答になんだよっ!
ちったー前後の文脈考えてものを言えっ!!


「私教室帰るね」
「あ、あおい!」


芳賀が教室に帰って行った。
ら、


「ちょっと工藤くん!!一緒に行ってやんなよっ!!」
「そうだぜ!?お前今あおいちゃん落ち込んでただろ!!?」
「ソフトクリームくらい新一つきあってあげたら?」


何故か俺だけがっ!悪者にされていた。
頭を抱え込んでも、ギャーギャーギャーギャーうるせぇ!!


「だーーー!!わーったよっ!行けばいーんだろ!!?」
「さっすが工藤くん!」
「やっぱりお前は優しい男だねー!」
「あおいもきっと喜ぶよ!」


何が優しい男、だっ!!
これだけ大勢で囲んでよく言うぜ!!


「おい、帰るぞ」
「…私ソフトクリーム屋さんに行くので」
「だから連れてってやるって言ってんだろ!」
「…槍が降る」
「バカなこと口走るのはこの口か?」
「いひゃいいひゃいいひゃい」
「オメーがうちのクラスに来たせいであの後さんざんだったんだ!連れてってやるんだから奢れよ!?」
「ひゃい」
「ほら、行くぞ」


めんどくせぇけど行かなかったらまーた大勢で周り囲ってぎゃーぎゃー騒ぐに違いない。
どいつもこいつもなんだってコイツの味方なんだよ!


「で?チラシは?」
「あ、うん、コレ」
「…住所しか書いてねーじゃねぇか」
「だから蘭たち誘ったんだって!」
「オメー1人なら間違いなく迷子決定だな」


この住所ならこっちから行った方が近ぇか…。
わざわざ食いたくもねぇソフトクリーム屋につきあってやるなんて、客観的に見ても俺すげぇ良いヤツだと自分でも思う。
そういう俺にコイツほんっとに感謝してんのかよ…。
…この顔はしてねぇな。
はぁ…。


「あの人だかりじゃねー?」
「ほんとだ!今の人ロングソフトクリーム持ってた!」
「うげぇ…。あんなに長ぇの食えっかよ…」


蘭もそうだけど、なんだって女はあんな甘いの食いたがるんだろーな…。


「バニラとワサビ味ください!」
「誰がワサビ味食うんだよっ!?」
「え?工藤くん」
「ふざけんじゃねーっ!コーヒー味にしてくださいっ!!」


なんで俺がワサビ味なんだよっ!!


「太くて短いのと、細長いのどっちがいい?」
「俺短いヤツで。芳賀は?」
「太くて長いモノが好きですっ!」


こう見えて俺だって健全な中学生男児だし?
発想したっておかしくない…はずだ。
おかしくないんだろうけど、コイツの何気ない発言に安易にソレを発想する俺がおかしいのかとも思った。
でもチラッと店員を見たら下向いて肩震わせて笑い堪えてるし、後ろからは女子高生のくすくす笑う声が聞こえるし!!
俺だけじゃねーじゃねーかよっ!!!


「いったいな!何すんのっ!?」
「オメーが何口走ってんだよっ!!」
「…はぁ?何が?」
「何がじゃねーよっ!このバカ女っ!ちょっと黙ってろっ!!」
「オモシロイ子だねー!確かに太くて長い方がいいね!」
「でしょう!?太くて長ければサイコーですよね!ほら、工藤くんが変なんだよ!」
「だからオメーは黙ってろ!!」
「痛い痛い痛いっ!!」


コイツといると恥しかかかねー気がするのは俺の気のせいか?
気のせいじゃねーよな!?
なんだっていつもいつもこんなに注目浴びれんだよ、このバカ女はっ!!


「今日は特別に短いコーヒー味と、太くてちょっとだけ長いバニラ味ね」
「ありがとうございますっ!」
「…すみません」
「また来てねー!」


にっこにこ笑ってた兄ちゃんからソフトクリームを受け取った。
…俺もう絶対ここに来ねぇ。


「美味しいねー!」
「別にフツー」


ソフトクリームなんてどこも一緒だろ。
歩いてると所々道路にソフトクリームらしい物体が落ちていた。


「この暑さで食うのが間に合わなかったんだろ」


だから長けりゃいいってもんじゃねーっての!
きったねぇなぁ…。


「って、ほら!工藤くん垂れてる!!」
「あー?っと、うっわ!」
「あーあー、もったいない!ほら!!」
「ほらとか言って、何ちゃっかり指で掬って俺の食ってんだよっ!!」
「え?クリーム垂れ流しよりいいじゃん!」
「…オメー半分近く指で奪い取ってったじゃねーか」
「たまたまだって!あ!何すんのっ!?」
「…うげぇ、やっぱ甘ぇ…」
「信じらんない!!人のソフトクリーム食べたっ!!しかも文句つけたっ!!」


ほんっとなんだってこんな甘ったるいもん食いたがるんだろーな…。
溶け始めたソフトクーリムに負けない勢いで芳賀とぎゃーぎゃー騒ぎながら帰った。

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