Treasure


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ミルクティー


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気付けば目で追ってしまうのは、1つ年下の男の子。




『(あ、また…)』



放課後の図書室。
部活が盛んなうちの学校で、放課後に図書室に残る生徒はほとんどいない。

私は帰宅部だけど…本を読むのが好きだし、執筆活動なんかも実はしているからよく図書室に訪れているんだけど…。



『(今日も推理小説かな?)』



1つ年下で帝丹高校の有名人。
高校生探偵の工藤新一って言ったらたぶん、知らない人はいないんじゃないかな?


そんな彼が最近よく図書室に出没する。


そして私は彼をそっと眺める。


そんな事を繰り返していた。








『(はぁ…ダメだな。書くお話のキャラクターも彼に似てきちゃう)』


「…それ、小説ですか?」


『え?』




執筆に没頭していると、いつの間にか後ろに工藤くんがいて、私が広げていた原稿を見ていた。



『え、あっ…』



恥ずかしい…!
そう思って原稿を片付けようとすると、私の手を工藤くんが掴む。



『…え?』


「これって推理小説?」


『え、えぇ…』


「へぇ!もう少し読んでみたいんですが…ダメですか?」


『え?』




恥ずかしい、って断ろうと思ったんだけど…。
彼の憂いを含んだ瞳を見たら、気付けば首を縦に振っていた。




『す、少しなら…』


「やった」



そう言って笑う工藤くんは、可愛い年下の男の子だった。






「…」


『ど、どうかな…?』



原稿に目を通している工藤くんに声をかける。



「すごく面白いですよ。特にこのトリックなんて…」


『本当?実はそのトリック、結構自信作なんだよね』



嬉しくて、思わず笑みを浮かべる。




『〜っはぁ…工藤くんに読んでもらうんで緊張して、何か喉渇いちゃった…』


「あ、じゃあ何か買いに行きます?ちょうど僕も喉が渇いたし…」


『本当?じゃあちょっと行こうか』




最初の緊張もすっかり無くなった私は、工藤くんと一緒に飲み物を買いに行った。





『えぇっと、工藤くんは何飲む?』


「ブラックコーヒーで」


(そういえばいつもそれ飲んでたな…)


そう思いながら、自販機のボタンを押す。



『はい』


「ありがとうございます。先輩はミルクティーですよね?」


『え?うん…』



にっこり微笑まれながら、工藤くんがボタンを押す。


「どうぞ」


『ありがとう…』



互いに互いの飲み物を買って渡す。
それにしても…。



『工藤くん、よく私がミルクティー好きだって知ってたね』



確かにミルクティーばっかり買って飲んでいた私。


「あぁ…僕、よく名前の事を見てたので」


『…え?』




突然のその言葉に驚きながら工藤くんを見た。



「ずっと気になってて、今日…緊張しながら話しかけたんですよ?」


『そ、そうなんだ…』



それってつまり…、工藤くんの言葉に顔が赤くなる。



「僕の推理によれば…」



俯きながら工藤くんの言葉を聞く。



「先輩も僕と同じ気持ちですよね?」


『え?…っ、』


「甘…」



顔をあげると待っていたのは、ミルクティーみたいに甘いキスだった。


→感想・感謝

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