※円堂+アフロディ
「クリスマスが毎日続けばいいのに」
「何で」
どこから生えてくるのか分からないその大きく白い羽をぱたぱたさせながら、アフロディは言った。
確かに毎日がクリスマスだったら嬉しいけど、毎日チキンとケーキじゃ飽きちゃうかもしれない。俺がそう話すとアフロディは笑った。
「そうだね。毎日ケーキじゃ大変だ」
「だろー。あ、でも季節限定とかちゃんとチェックできたりしないか。人って、限定に弱いってテレビで見た!」
「うん。でもそしたらクリスマス限定はなくなっちゃうね」
あ、そうか。俺は頭で跳ねさせていたボールを手に取る。
そろそろ空が暗くなる頃だ。結構長話をしていたみたいで、ボールをバッグにしまった。遅くなると母ちゃん怒るかな。
「クリスマスってケーキを食べる日じゃないんだよ。神様の誕生日なんだ」
ぱたぱた鳥みたいな羽は落ちていく夕日に紅くなる。段々黒に染まっていく羽の所は見えなくなっていった。
「神様の?」
「そう。イエス・キリストって聞いた事ないかい」
「あ、なんか聞いた事ある」
「その神様を祝うんだ、本来のクリスマスは。日本ではそういう人は少ないけど」
「チキンとかケーキとか食べるから?」
「そう、かな。君の家がそうなら」
「うん。でもアフロディはクリスマスがずーっと続いてほしいのか?」
さっきの話に戻っちゃうけど。
暗くなったから、通学路辺りの街頭がついた。アフロディの羽は完全に消えてしまっている。
「まあ、神様をお祝いできるから」
「へえ」
「神様も信仰心が少なくなって困ってるみたい」
「んー難しくて分かんないや」
「ごめんごめん」
それで、俺が羽が消えちゃったなって言うとやっぱりアフロディは笑った。
「夜になると消えちゃうんだ。神様が寝ちゃうからね」
く:クリスマスが好きな君
2010.02.13
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