※幻想入り バンガゼ+紅魔館



 貴方は合格ね、とパックに溜まった血を見てメイドはにっこりした。何が合格なんだろう。ガゼルは傷から玉になって張力する血を拭き取った。アルコールの染みたガーゼを渡され、傷の上に貼り付ける。
 遊びにいらっしゃいと招かれてみたならば、急に献血をさせられた。何ミリリットル取られたか知らないが、頭が少しふわふわした。これが貧血状態なのだろうか。
 メイドに案内されたテラスまでおぼつかない足取りで歩いた。そこに居たのは血色の良いバーンと日の下に出ないお嬢様だった。太陽を浴びるのはバーンとガゼルの席で、やはりお嬢様は日陰の所を陣取っていた。

「ご苦労様。咲夜ー、紅茶とデザートお願いー」
「かしこまりました」

 ぼーっとするまま席につけば、バーンはにやにやしてガゼルに擦り寄ってくる。なよなよしてんな、搾り取られた? と聞いてくる彼の顔を殴っておく。

「あらDV?」
「家庭内じゃない。それにお前の方が酷い家庭内暴力だ」
「フランとは遊んでいるだけよ。でさ、貴方は平気かしら? 酷い顔色ね」
「誰のせいだ」
「そうね、私かしら」

 ぐったりとなったバーンを放っておき、ガゼルは額に手をやった。献血の対象年齢にはまだ達していないのに。ぐったり具合はバーンとそんなに変わらぬ彼にレミリアは笑った。

「ごめんなさいね。貴方健康そうだったから、美味しそうでつい」
「つい?」
「うん。バーンは高血圧気味で、あまり好みじゃなかったから。あ、彼の分はフランにあげるのよ」
「まさか……」

 がらがらと紅茶とケーキが運ばれてきた。

「そのまさか、かも」

 レミリアの前に置かれた紅茶とケーキはどっちも、血のように真っ赤で、思わず卒倒しそうになった。







け:健康的な人が好きな君




2010.02.13









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