吹雪と目金
「相変わらず素晴らしいシュートですね。」
メガネのフレームのふちに手をかけると目金はそのままカチャリと持ち上げた。
「ウルフレジェンドのことかい?」
練習試合の後、水分補給のためにベンチに戻ってきていた吹雪は水の入ったボトルから口を離し目金へと向き直る。そしてほほ笑みを浮かべながらたずねた。
「えぇ!威力やシュート時の吹雪君の気迫はもちろん、必殺技名も素晴らしいです!僕のネーミングセンスには敵いませんけどね。」
興奮気味に拳を握り締め語る目金に、ちゃっかり自分のことも褒めるなんて目金君らしいな、と吹雪はクスリと笑みがこぼれる。
「ふふ、目金君に褒めてもらえるなんて光栄だよ。あの技はまだ小さい時、僕とアツヤが作った大切な技だからね…」
大切な宝物を語るように優しくそして嬉しそうに、キラキラと輝く瞳で話す吹雪に目金は瞳を少し見開いた。
けれどそれは一瞬で。
「なるほど…!それはいいことです。これからも大切にしてください。」
「もちろんだよ」
笑顔で返した吹雪にグラウンドから円堂の招集の声が届く、じゃあ…と一言残し彼はグラウンドへと戻っていった。
その後ろ姿を見送りながら目金は感慨深けに呟く。
「弟…ですか」
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目金に双子の弟がいたことに感動して書いたもの。
アツヤ生きてたら弟自慢とか2人でしてたら楽しいのになぁ。